漢方大辞典
流行性感染症
2026年9月18日

季節や地域、集団生活などを背景に、ウイルスなどの病原体が人から人へ広がり、一定期間に患者が増える感染症を指します。
代表的なものには、インフルエンザ、新型コロナ、RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、手足口病などがあります。
- 発熱
- 悪寒、咳
- 倦怠感
- 筋肉痛・関節痛
流行性感染症の主な要因
1. 飛沫感染
感染した人が咳・くしゃみ・会話などをした際に、病原体を含む比較的大きな飛沫が周囲に飛び、それを他の人が吸い込むことで感染する経路です。
2. エアロゾル感染
エアロゾルとは、病原体を含む非常に細かい粒子が空気中に漂う状態を指します。
飛沫よりも小さな粒子は、すぐに床へ落下せず、室内の空気中を一定時間漂うことがあります。
3. 接触感染
感染者の手や体、あるいは病原体が付着した物の表面に触れ、その手で口・鼻・目などを触ることで感染する経路です。
4. 食品・水を介した感染
これは、病原体に汚染された食品や水を口から摂取することで感染する経路です。
いわゆる「食中毒」の原因となる細菌やウイルスなどが代表的です。
漢方的にみる流行性感染症の主な要因
1. 気虚(ききょ)タイプ
「気」が不足している状態。
- 特徴・症状:疲れやすい、風邪をひきやすいと感じる、食欲が落ちやすい、疲れると症状が悪化しやすい、回復に時間がかかる
- 養生法:疲れているときに無理な運動をしない、朝食を抜かない、食事を規則正しく摂る
- おすすめ食材:米・山芋・かぼちゃ・鶏肉・卵・白身魚・大豆製品
2. 脾虚(ひきょ)タイプ
「胃腸」が弱り、体力をつくりにくいタイプ
- 特徴・症状:食欲がない、胃もたれ、食後に眠くなる、軟便・下痢、疲れやすい
- 養生法:一度にたくさん食べない、腹八分目を心がける、よく噛んで食べる、温かい料理を中心にする
- おすすめ食材:米・山芋・かぼちゃ・にんじん・鶏肉・大豆・きのこ
3. 肺気虚(はいききょ)タイプ
「肺」の働きが弱り、呼吸器症状が出やすいタイプ
- 特徴・症状:風邪をひきやすい、咳が長引きやすい、息切れしやすい、声が弱い、疲れると咳が出やすい
- 養生法:冷たい空気を直接吸い込まない、首・胸元を冷やしすぎない、室内の乾燥に注意する、十分な睡眠をとる
- おすすめ食材:山芋・れんこん・白きくらげ・梨・大根・白身魚
季節ごとの養生
春(肝を整える季節):環境変化とストレスから「気」を守る
- 特徴:春は寒暖差が大きく、新生活など環境の変化によるストレスも増えやすい季節です。
体調を崩したまま春を過ごすと、疲労や睡眠不足が重なり、感染症が流行する時期にも体調管理が難しくなることがあります。 - 養生法
- 起床・就寝時間をできるだけ一定にする、睡眠不足を避ける
- 朝に日光を浴びる、散歩やストレッチで身体を動か
- おすすめ食材:菜の花・小松菜・春菊・キャベツ・新玉ねぎ・豆類・柑橘類
夏(炎症と消耗を防ぐ季節):暑さ・発汗・湿気による「消耗」を防ぐ
- 特徴:夏は暑さによって汗をかき、水分や電解質を失いやすくなります。
漢方では暑さを「暑邪」、湿気による重だるさなどを「湿邪」として捉えます。
さらに、暑さによる食欲低下や睡眠不足が重なると、体力の消耗し食中毒などに羅漢しやすくなります。 - 養生法
- のどが渇く前からこまめに水分を摂る、汗を多くかくときは電解質も意識する
- 暑さを我慢しすぎない、冷房を適切に使用する
- おすすめ食材:トマト・オクラ・枝豆・冬瓜・とうもろこし・豆腐・魚・卵
秋(乾燥と回復の季節):「夏の疲れ」を回復し、冬の流行期に備える
- 特徴:秋は、夏の暑さや睡眠不足、食欲低下などによる疲れが表面化しやすい時期です。
さらに空気が乾燥し始め、漢方では秋は「燥邪」に注意する季節と考えます。
そして、秋から冬にかけては、インフルエンザなどの呼吸器感染症が問題になりやすくなります。
そのため秋は、冬の感染症流行期に向けて体調を立て直す時期として考えることができます。 - 養生法
- 夏の疲れを放置しない、睡眠時間を確保する
- 食事量を戻していく、温かい料理を取り入れる、喉や鼻の乾燥に注意する
- おすすめ食材:れんこん・梨・山芋・きのこ・かぼちゃ・さつまいも・白ごま・黒ごま
冬(冷えを防ぎ血流を守る季節):「冷え」と乾燥から身体を守り、感染症流行期を乗り切る
- 特徴:冬は気温が低く、空気も乾燥します。
さらにインフルエンザなどの呼吸器感染症が流行しやすい時期でもあります。
漢方では冬は「腎」と関係が深く、身体の根本的な力を蓄える季節と考えます。 - 養生法
- 冷えを防ぐ、体力を消耗させない
- 感染経路を断つ、栄養を確保する
- おすすめ食材:黒ごま・黒豆・山芋・くるみ・牡蠣・魚・卵・大根・ごぼう・にんじん
一陽館薬局ならではのサポート
流行性感染症の予防というと、「手洗い」「マスク」「消毒」などに目が向きます。もちろん、これらは大切です。
漢方では、感染症だけを見るのではなく、食事・睡眠・胃腸・ストレス・冷え・年齢・季節まで含めて、その方の体質を考えることが大切です。
そして、流行性感染症にかかった後も、「症状が無くなったら終わり」ではなく、食欲・睡眠・体力が戻っているか等も大切な体のサインです。
これが、「感染症への対策」と「体の土台づくり」を両方から考える、養生につながります。
流行性感染症への対策、ぜひ一度ご相談ください。


