漢方大辞典

精神的なお悩み

起立性調節障害

2026年9月1日

起立性調節障害は、立ち上がったときに本来働くはずの自律神経による循環調節がうまくいかず、脳への血流が一時的に不足するなどして、さまざまな症状が起こる状態です。
思春期は、身体の成長に対して自律神経や循環器系の調節が追いつきにくく、発症しやすいとされています。

  • 朝なかなか起きられない
  • 午前中は体が動かない
  • めまい、立ちくらみ
  • 息苦しさ、冷や汗
  • 集中力低下

起立性調節障害の主な要因

1. 自律神経による循環調節の乱れ

通常、立ち上がると血液が重力によって下半身に移動します。すると交感神経が働き、血管を収縮させて血圧を維持します。
この起立時の血圧・心拍・血流を調整する反応がうまく働かないことで、脳への血流が一時的に不足し、めまいや立ちくらみ、倦怠感などにつながります。

2. 循環血液量の不足

体内の水分量が少ないと、そもそも血圧を維持するための血液量が不足します。特に夏場や運動後、入浴後などは注意が必要です。

3. 血液が下半身にたまりやすい

立位になると血液が脚や腹部に移動します。本来は血管収縮や下肢の筋肉による「筋ポンプ」で血液を心臓へ戻しますが、この調節が十分でないと、
下半身に血液がたまる→心臓へ戻る血液が減る→心拍・血圧の調節が必要になる→脳への血流が不足しやすくなるという状態が起こります。

4. 思春期特有の身体変化

思春期に多い理由の一つとして、急激な成長に伴う循環調節の変化が考えられています。
身長や体重が大きく変化する一方で、自律神経や血管の調節機能が十分に適応できず、立位時の循環調節が不安定になりやすいと考えられています。

漢方的にみる起立性調節障害の主な要因

1. 気虚(ききょ)タイプ

ストレスなどにより「気」の巡りが滞っているタイプ。

  • 特徴・症状:朝からだるい、疲れやすい、声に力がない、食欲がない、少し動くと疲れる、めまい、息切れ
  • 養生法:エネルギーを消耗しすぎないこと、無理な運動よりも、体調に合わせて散歩やストレッチなどから始めましょう
  • おすすめ食材:米、山芋、かぼちゃ、鶏肉、卵、大豆、じゃがいも

2.  水滞・痰湿(すいたい・たんしつ)タイプ

水分代謝がうまくいかず、余分な水分が体内に停滞しているタイプです。

  • 特徴・症状:めまい、頭が重い、吐き気、むくみ、雨の日に体調が悪化、体が重だるい
  • 養生法:水分を極端に制限するのではなく、適切な水分補給と軽い運動で巡りを促すことが大切です
  • おすすめ食材:ハトムギ、冬瓜、小豆、緑豆、生姜

3.  血虚(けっきょ)タイプ

身体を養う「血」が不足している状態です。
特に女子では、月経が始まった後に鉄不足などが重なると、疲労感やめまいが目立つことがあります。

  • 特徴・症状:めまい、顔色が悪い、疲れやすい、動悸、集中力低下、月経量が多い場合がある
  • 養生法:睡眠とリラックス時間をしっかり確保、適度な運動で血の巡りを助ける
  • おすすめ食材:赤身肉、魚、卵、大豆製品、小松菜、ほうれん草、貝類

季節ごとの養生

春(肝を整える季節):「気」を巡らせ、血流を整える

  • 特徴:春は環境変化や寒暖差、進学・進級などのストレスが重なり、自律神経が揺らぎやすい季節です。
  • 養生法
    • 起床時間を一定にする、朝日を浴びる
    • 軽い運動をする、新生活で無理をしすぎない
  • おすすめ食材:春キャベツ、新玉ねぎ、菜の花、卵、豆類、山芋

夏(炎症と消耗を防ぐ季節):暑さ・冷房による「冷え」と水分不足に注意

  • 特徴:汗によって水分や電解質が失われ、さらに暑さで血管が拡張するため、立ちくらみなどが悪化しやすくなります。
  • 養生法
    • のどが渇く前から水分補給、外出時は帽子や日傘を活用
    • 炎天下での長時間活動を避ける、汗をかいたら水分・電解質を補う
  • おすすめ食材:梅、トマト、きゅうり、枝豆、オクラ、豚肉、卵

秋(乾燥と回復の季節):「血」を養い、乾燥から守る

  • 特徴:夏の疲れが残りやすく、朝晩の寒暖差も大きくなります。
  • 養生法
    • 夏の疲れを引きずらない、睡眠時間を確保する
    • 温かい食事を増やす、朝晩の冷え対策をする
  • おすすめ食材:れんこん、山芋、きのこ、さつまいも、梨、鮭

冬(冷えを防ぎ血流を守る季節):「冷え」と「瘀血」に注意

  • 特徴:寒さによって血管が収縮し、体調が変化しやすくなります。
  • 養生法
    • 朝の急な起き上がりを避ける、首・お腹・腰を冷やさない
    • 入浴で体を温める、屋内でできる運動を続ける
  • おすすめ食材:生姜、長ねぎ、根菜、味噌、鶏肉、卵、黒豆

一陽館薬局ならではのサポート

起立性調節障害は、単純に「血圧が低い」「朝が弱い」という問題として捉えるのではなく、自律神経・循環・睡眠・水分バランス・栄養状態・ストレス・成長期の身体変化などを総合的に考えることが大切です。
漢方では、、生活リズムを含めて「自律神経が働きやすい身体の土台」を整えていくことを目指します。
特に成長期のお子さんの場合は、「頑張れば起きられる」「気持ちの問題」と決めつけず、本人のつらさを受け止めながら、できることから少しずつ生活を立て直していくことが大切です。

起立性調節障害でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。