漢方大辞典
月経困難症
2026年8月17日

月経困難症とは、月経に伴って起こる下腹部痛、腰痛、頭痛、吐き気、だるさなどの症状が強く、日常生活に支障をきたす状態です。
- 下腹部痛
- 腰痛・骨盤周辺の痛み
- 頭痛・めまい
- 吐き気・胃腸症状
- 全身のだるさ・疲労感
月経困難症の主な要因
1. プロスタグランジンの過剰産生
月経時には子宮内膜からプロスタグランジンが産生され、子宮を収縮させます。これが過剰になると、子宮の収縮が強くなり、強い下腹部痛や腰痛、吐き気などにつながります。
2. 子宮内膜症
子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所で増殖し、月経のたびに炎症や痛みを起こします。月経痛が年々強くなる場合は注意が必要です。
3. 子宮筋腫・腺筋症
子宮筋腫や子宮腺筋症では、過多月経や月経痛が強くなることがあります。
4. 冷え・ストレス・睡眠不足など
これらは直接的な病因とは限りませんが、自律神経や痛みの感じ方に影響し、月経時の不調を強く感じる要因になることがあります。
漢方的にみる月経困難症の主な要因
1. 気滞(きたい)タイプ
ストレスなどにより「気」の巡りが滞っているタイプ。
- 特徴・症状:月経前からイライラする、胸や脇が張る、生理前に痛みが強くなる、ストレスで症状が悪化する
- 養生法:香りのよい食材や軽い運動を取り入れ、気分をため込まないことを意識します。
- おすすめ食材:みょうが、大葉、三つ葉、セロリ、春菊、玉ねぎ、柑橘類(みかん、ゆず、レモンなど)、ジャスミン茶
2. 瘀血(おけつ)タイプ
血の巡りが滞っているタイプで、月経困難症では重要な漢方的要因の一つです。
- 特徴・症状:刺すような痛み、月経血に血塊が混じる、月経血の色が暗い、月経時に下腹部が強く痛む、肩こりや冷えもある
- 養生法:適度に体を動かし、下腹部や腰を冷やさないことが大切です。
- おすすめ食材:玉ねぎ、長ねぎ、にら、青魚(サバ、イワシ、サンマなど)、黒きくらげ、なす、納豆、黒豆、生姜
3. 寒凝血瘀(かんぎょうけつお)タイプ
冷えによって血の巡りが悪くなるタイプ。
- 特徴・症状:冷えると痛みが強くなる、温めると楽になる、下腹部が冷たい、月経血が暗い、血塊がある
- 養生法:腹部・腰・足首を冷やさず、温かい食事を基本にします。
- おすすめ食材:生姜、長ねぎ、にら、玉ねぎ、にんじん、ごぼう、かぼちゃ、鶏肉、羊肉、味噌
季節ごとの養生
春(肝を整える季節):「気」を巡らせ、血流を整える
- 特徴:月経前からイライラする、胸が張る、ため息が多い、月経痛が強くなる
- 養生法
- 朝起きたら軽く体を伸ばす
- 夜更かしを避ける、気持ちを溜め込まず、リラックスする時間をつくる
- おすすめ食材:菜の花、セロリ、春菊、しそ、玉ねぎ、柑橘類
夏(炎症と消耗を防ぐ季節):暑さ・冷房による「冷え」と水分不足に注意
- 特徴:冷房等の冷えによる血流が低下して月経痛が強くなることがあります。
- 養生法
- 水分をこまめに補給する、冷たい飲み物・食べ物を摂りすぎない
- 汗をかいたら衣類を着替える、夏でも湯船につかり、冷えをリセットする
- おすすめ食材:トマト、オクラ、枝豆、豆腐、とうもろこし、冬瓜、豚肉、魚類
秋(乾燥と回復の季節):「血」を養い、乾燥から守る
- 特徴:気温が下がり、空気も乾燥する中夏の疲れが残っていると、月経時の疲労感や痛みを強く感じることもあります。
- 養生法
- 肌や唇、喉などの乾燥にも注意する
- 月経中は過度な運動や無理を控える
- おすすめ食材:黒ごま、にんじん、ほうれん草、小松菜、卵、牛肉、鮭、ひじき、なつめ
冬(冷えを防ぎ血流を守る季節):「冷え」と「瘀血」に注意
- 特徴:冷えによって血の巡りが悪くなり痛みが強くなる
- 養生法
- 腹部・腰・足首を冷やさない、入浴で全身を温める
- 朝食を抜かない、月経前から体を冷やさない
- おすすめ食材:生姜、ねぎ、にんじん、かぼちゃ、黒豆、牛肉、鶏肉、味噌、根菜類
一陽館薬局ならではのサポート
月経困難症は、単なる「生理痛」だけでなく、痛み・消化器症状・全身症状・精神症状などが組み合わさって現れることがあります。
西洋医学的には、子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫などの器質的疾患が隠れていないかを確認することも非常に重要です。
同じ「月経痛」でも、冷えて痛むのか、血の巡りが滞って痛むのか、ストレスで悪化するのか、月経後に体力を消耗しているのかを見極め、
一律ではなく体質に合わせて考える、というアプローチができます。
一陽館薬局では、年齢や体質、季節による変化にも寄り添いながら、毎日の養生から身体の土台づくりをサポートします。
月経困難症でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。


