漢方大辞典

女性のお悩み

PMS

2026年1月19日

PMSは、月経前の数日~2週間に現れる身体的・精神的な不調の総称です。腹痛や腰痛、むくみ、胸の張り、頭痛、疲労感に加え、イライラや抑うつ、集中力低下、不眠など、心身に幅広く影響します。

  • 生理前にイライラや落ち込みが強くなる
  • 体や顔がむくみやすい
  • 胸や脇が張る感じ、乳房の痛みがある
  • 下腹部の張りや痛みを感じる
  • 疲れやすく、気力がわかない
  • 睡眠の質が乱れやすい

PMSの主な要因

1. 女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の急激な変動

PMSは、排卵後〜月経直前(黄体期)に起こります。この時期は、エストロゲンが低下、プロゲステロンが一時的に上昇し、その後急低下というホルモンの乱高下が起こります。
ホルモン感受性が高い人、自律神経が不安定な人は、少しの変動でも強い症状が出やすくなります。

2. 脳内神経伝達物質(セロトニン)の低下

エストロゲンは、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの産生・働きを助ける作用があります。黄体期後半にエストロゲンが低下すると、セロトニンが減少し、
イライラ、不安感、抑うつ気分、集中力低下、過食(特に甘いもの欲求)などの精神症状が現れます。

3. プロゲステロン代謝物による中枢神経への影響

プロゲステロンは体内で代謝されると、GABA受容体(脳のブレーキ役)に作用します。本来はリラックス作用がありますが、感受性が高い人、ストレス状態が強い人では逆に、不安、動悸、落ち着かない、過敏といった症状を引き起こすことがあります。

4. 自律神経のアンバランス

黄体期はもともと、交感神経が優位、副交感神経が働きにくい時期です。そこに、睡眠不足、精神的ストレス、冷え、過労が重なると、自律神経の切り替えがうまくいかず、頭痛、めまい、動悸、胃腸不調、倦怠感などの身体症状が強く出ます。

漢方的にみるPMSの主な要因

1. 肝気鬱結タイプ

・肝は「気の巡り」と「感情」を司ります。
ストレスや我慢が続くと肝の働きが滞り、月経前に気が詰まって不調が表れます。

  • 特徴・症状:ストレスで気が滞り、胸の張り・腹痛・イライラ
  • 養生法:深呼吸、ウォーキング、ストレッチで気を巡らせる
  • おすすめ食材:青菜(ほうれん草・小松菜)、黒ゴマ、胡麻油、陳皮、セロリ、ラベンダー・カモミール茶

2. 血虚タイプ

・血は「子宮・脳・心(精神)」を養う大切な物質。
月経前は血の需要が増えるため、もともと血が不足しているとPMSが強く出ます。

  • 特徴・症状:生理前に不安感・落ち込みが強くなる、髪が抜けやすい、爪が割れやすい
  • 養生法:温かい食事で血を補い、安眠を意識する
  • おすすめ食材:なつめ、黒豆、レバー、ほうれん草、百合根、牛肉、白きくらげ

3. 脾胃虚弱タイプ

・血を十分に作れない、気が不足し、気の巡りも悪くなり疲れやすい、何もやる気が出なくなります。

  • 特徴・症状:生理前になると強いだるさ・眠気が出る、食後に眠くなる・胃もたれしやすい
  • 養生法:温かく消化の良い食事で脾を養い、軽い運動で気血を巡らせる
  • おすすめ食材:山芋、大豆製品、鶏肉、根菜類(かぼちゃ・にんじん)、はと麦、もち米

4. 腎虚タイプ

・腎は「生殖・ホルモン・成長」を司ります。
加齢や冷え、過労で腎が弱るとホルモン調整力が低下します。

  • 特徴・症状:エネルギー不足で集中力低下・不安感・体力低下
  • 養生法:腰や下腹部を温め、十分な休養をとる
  • おすすめ食材:黒豆、黒ゴマ、クコの実、羊肉、海藻類(わかめ・ひじき)、くるみ、ナッツ類

季節ごとの養生

春(肝の季節)

  • 特徴:気の滞りが起こりやすく、ストレスや環境の変化で情緒不安定になりがち。イライラや胸の張り、腹痛が強く出やすい時期です。
  • 養生法
    • 朝や昼に ウォーキングや軽いストレッチ を取り入れて気の巡りを促す
    • 深呼吸やヨガで心身の緊張を緩める
  • おすすめ食材:青菜(ほうれん草・小松菜)、黒ゴマ、セロリ、しそ

夏(心の季節)

  • 特徴:暑さや睡眠不足で気分が乱れ、イライラや疲労感が強まります。胸の張りや抑うつ感が悪化しやすい時期です。
  • 養生法
    • こまめに常温の水分補給を行い、体内の熱を調整
    • 短時間の休養や昼寝 を取り入れて心身を整える
  • おすすめ食材:小豆、蓮の実、きゅうり、苦瓜

秋(肺の季節)

  • 特徴:乾燥が強くなり、呼吸器や肌の不調が現れやすく、倦怠感や気分の落ち込みが増すことがあります。
  • 養生法
    • 湿度の調整や加湿で乾燥対策を行う
    • 温かいスープや煮物、豆乳で体と肺を潤す
  • おすすめ食材: 梨、大根、百合根、松の実

冬(腎の季節)

  • 特徴:冷えや疲労で体力や気力が低下しやすく、集中力の低下や不安感が強く出やすい時期です。
  • 養生法
    • 下半身(腰・お腹・足首)を温める(腹巻・カイロ・湯たんぽ)
    • 十分な睡眠をとり、体力を回復させる
  • おすすめ食材:くるみ、黒豆、クコの実、羊肉、山芋、豆乳、黒ごま

一陽館薬局ならではのサポート

「毎月この時期になると、自分が自分でなくなるような気がする」「理由はわからないのに、イライラや不安、疲労感が強くなる」
PMSに悩む多くの方が、そうした思いを抱えながら日々を過ごしています。
西洋医学では、PMSは排卵後に起こる女性ホルモンの変動や、それに伴う脳内神経伝達物質の変化、自律神経の乱れが関与すると考えられています。しかし、血液検査で異常が見つからないことも多く、「気のせい」「体質だから仕方ない」と片づけられてしまうことも少なくありません。

漢方では、PMSを単なるホルモンの問題としてだけでなく体のバランスの崩れととらえます。
季節養生や生活習慣を工夫することで、症状を和らげ、毎日の生活を快適に過ごすことができます。
体質そのものから整える漢方的アプローチを行っていきます。

PMSでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。