漢方大辞典

胃腸に関するお悩み

過敏性腸症候群

2026年3月13日

過敏性腸症候群は、下痢・便秘・腹痛・ガスなどの症状が慢性的に繰り返される消火器のトラブルです。症状は見た目にはわかりにくいものの、日常生活や仕事、食事の楽しみなどにストレスを与えることがあります。そのため、単に症状を抑えるだけでなく、体質や心身のバランスを整えることが、改善への近道です。

  • ストレスや緊張で下痢や便秘が出やすい
  • お腹の張りやガスがたまりやすい
  • 食後にお腹が痛くなることが多い
  • 疲れやすく、気力が湧かない
  • 便の状態がコロコロ変わりやすい(便秘と下痢を繰り返す)
  • 胃腸の不快感が慢性的に続く

過敏性腸症候群の主な要因

1. 脳腸相関の乱れ

腸は「第二の脳」と呼ばれ、脳と密接に神経ネットワークでつながっています。
ストレス・不安・緊張・自律神経の乱れこれらが脳から腸へ信号として伝わり、腸の運動異常、腸の過敏性、分泌異常を引き起こす

2. 腸の知覚過敏

腸の感覚神経が過敏になっていることが多い。通常なら感じない腸の動きでも、腹痛、張り、不快感として強く感じてしまいます。これは神経伝達物質の異常、
腸神経系の過剰反応によるものと考えられています。

3. 腸内細菌叢(腸内フローラ)の乱れ

善玉菌の減少、ガス産生菌の増加、腸内炎症の軽度亢進など。これにより腸内ガス増加、腸運動異常、炎症性サイトカイン増加が起こり、症状を引き起こします。

4. 軽度の腸粘膜炎症

微弱な炎症存在するため、免疫細胞の軽度増加、炎症性物質の分泌、腸粘膜バリア機能低下。これにより腸の感受性が高まり、症状が起こりやすくなります。

漢方的にみる過敏性腸症候群の主な要因

1. 脾胃虚弱タイプ

  • 特徴・症状:消化力が弱く、下痢や軟便を繰り返し、疲れやすい
  • 養生法:冷やす食材や胃の熱を和らげるものを摂取し、辛いもの・刺激物・アルコールを控える
  • おすすめ食材:白米、山芋、豆腐、人参、大豆製品

2.  肝気鬱結タイプ

  • 特徴・症状:ストレスやイライラで腹痛や便通異常が悪化しやすい
  • 養生法:気を巡らせる運動や深呼吸、リラックス時間を確保
  • おすすめ食材:陳皮、セロリ、しそ、ラベンダー・カモミール茶

3.  湿熱内盛タイプ

  • 特徴・症状:腹部の張りや下痢、便が軟らかく粘り気がある場合に多い
  • 養生法:脂っこいものや冷たい飲食を控え、腸内環境を整える
  • おすすめ食材:はと麦、冬瓜、緑豆、とうもろこしのひげ茶

4. 気血両虚タイプ

  • 特徴・症状:慢性的な疲労や食欲不振、便通の乱れが続く
  • 養生法:消化に負担をかけない温かい食事で体力を補い、軽い運動で気血を巡らせる
  • おすすめ食材:白米、山芋、豆腐、人参、大豆製品

季節ごとの養生

春(風の季節):「巡らせる」ことが最優先

  • 特徴:春は肝の働きが活発になり、気が上昇しやすい時期。ストレスやイライラで腹部の張りや便通異常が起きやすい。
  • 養生法
    • 軽いウォーキングやストレッチ、深呼吸で気を巡らせる
    • 睡眠リズムを整える
  • おすすめ食材:春野菜(セロリ、菜の花、タケノコ)、陳皮、ハーブティー(カモミール、ラベンダー)

夏(心の季節):休ませる・冷ましすぎない

  • 特徴:夏は湿気や暑さで消化器に負担がかかりやすく、下痢や軟便、腹部の張りが悪化しやすい。
  • 養生法
    • 冷たい飲食や生ものを控え、消化に優しい温かい食事を意識
    • 熱い日には直射日光を避け、涼しい場所で過ごすことも大切
  • おすすめ食材:冬瓜、きゅうり、緑豆、とうもろこしのひげ茶、はと麦

秋(肺の季節):潤して整える

  • 特徴:乾燥が進む季節で、腸の潤いが不足しやすく、便秘や腹部の違和感が出やすい。
  • 養生法
    • 加湿器や濡れタオルで室内の乾燥を防ぐ
    • 腸を潤す食材を取り入れる
  • おすすめ食材:梨、白きくらげ、山芋、豆乳、はと麦

冬(腎の季節):温めて蓄える

  • 特徴:寒さで腸の働きが低下し、消化不良や腹部の冷え、便秘が起こりやすい。
  • 養生法
    • 睡眠やゆったりとした休養を取る
    • 腸や下腹部を温める(腹巻や温かい飲食)
  • おすすめ食材:生姜、黒豆、クコの実、山芋、羊肉

一陽館薬局ならではのサポート

過敏性腸症候群は、腹痛や腹部不快感、下痢や便秘などの排便異常が慢性的に続く疾患であり、検査では明確な器質的異常が見つからないにもかかわらず、日常生活に大きな影響を与える病態です。

腸は「第二の脳」と呼ばれるほど神経ネットワークが発達しており、ストレスや感情、自律神経の状態に強く影響されます。過敏性腸症候群では、ストレスや心理的負担によって自律神経のバランスが崩れ、腸の運動や感覚が過敏になることが知られています。また近年の研究では、腸内細菌叢(腸内フローラ)の変化、腸粘膜の微細炎症、セロトニンなどの神経伝達物質の調節異常が関与することも明らかになってきました。

一般的な治療では、整腸薬、消化管運動調整薬、抗不安薬、食事療法などが用いられますが、症状はストレスや体調によって変動しやすく、根本的な改善には生活環境や体質そのものを整える視点が重要とされています。

過敏性腸症候群を「腸の不調」という局所的な問題としてではなく、自律神経・腸内環境・体質・生活習慣が複雑に関係する全身的なバランスの乱れとして捉えます。症状の表れ方は人それぞれであり、下痢型、便秘型、混合型といった違いだけでなく、ストレスの影響の受け方、胃腸の強さ、冷えや疲労の程度などによって背景は大きく異なります。そのため、一陽館薬局ではまず丁寧な聞き取りを行い、生活環境、食習慣、睡眠、ストレスの状況などを総合的に確認し、症状を引き起こしている要因を整理します。

また、薬だけに頼るのではなく、食事や生活習慣の見直しも重要な柱となります。腸内環境を整える食生活、胃腸に負担をかけない食べ方、ストレスを緩和する生活リズムの整え方などを具体的に提案し、腸の回復力を高めていきます。過敏性腸症候群は精神的な緊張と深く関わるため、安心して相談できる環境を整えることも大切だと考えています。

一陽館薬局が目指しているのは、単に症状を抑えることではなく、腸が本来持つリズムと回復力を取り戻し、再発しにくい体質へ導くことです。西洋医学の知見を尊重しながら、漢方の体質医学と生活養生を組み合わせ、心と体の両面から整えることで、過敏性腸症候群と長く付き合わなくてもよい状態を目指してサポートいたします。

過敏性腸症候群でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。