漢方大辞典

尿に関するお悩み

膀胱炎

2025年12月13日

膀胱炎は、膀胱の粘膜に細菌が感染して炎症を起こす病気です。
尿道を通り、膀胱に侵入します。女性に多いのは、尿道が短く肛門に近いためです。排尿時の痛み(しみるような痛み)や頻尿、残尿感、尿の濁り、血尿等の症状が見られます。

  • 水分をあまり摂らず、尿を我慢することが多い
  • 下腹部や足元が冷えやすく、血流が悪い
  • ストレスを感じやすく、緊張や不安が続くと排尿トラブルが起こる
  • 冷えや疲れが重なると、排尿痛や残尿感が出やすい
  • 便秘がち、または下痢と便秘を繰り返す
  • 疲れやすく、免疫力が低下しやすい

膀胱炎の主な要因

1.「細菌が膀胱内に入る」ことで起こりやすくなる

デリケートゾーンの菌バランスの乱れ、トイレを我慢する習慣(尿が膀胱内に滞留 → 細菌が増殖しやすい)

2.免疫力の低下

風邪や疲労、過労、睡眠不足、糖尿病やステロイド使用、高齢者や妊娠中、強いストレス

3.尿の性質の変化

水分不足 → 濃い尿(濃い尿は膀胱粘膜を刺激し、炎症を起こしやすい)
過度な糖分摂取 → 尿中の糖が増えやすい(菌のエサとなり発症リスク上昇)
酸性・アルカリ性の過度な偏り(食生活やサプリなどで尿が偏ると、菌増殖の助けになる場合があります)

4.女性特有の身体構造(女性は男性よりも膀胱炎が多い理由→尿道が短い(男性の1/5以下)、尿道口と肛門が近い、細菌が膀胱に届きやすい構造等の理由があります)

 

漢方的にみる膀胱炎の主な要因

漢方では、膀胱炎は「湿熱・気血・腎」のバランスの乱れが関与すると考えます。

1. 湿熱(しつねつ)タイプ:最も多い膀胱炎の原因

・湿(余分な水分・むくみの元)と熱(炎症・ほてり)が下半身にこもっている状態。

  • 特徴・症状:排尿痛、残尿感、尿が濁る、尿の色が濃い、ニオイが強い、下腹部の熱感、重だるさ、口が苦い、ベタつく、舌の苔が黄色く厚い
  • 養生法:長時間の座りっぱなしを避け、下半身の熱こもりを防ぐ、ストレスを溜めない(熱化を防ぐ)、十分な水分補給で尿を薄める
  • おすすめ食材:緑豆、きゅうり、セロリ、冬瓜、トマト、ゴーヤ、セロリ、レタスなど「清熱・利湿」食材、柑橘類(レモン・グレープフルーツ)

2. 気血両虚(きけつ りょうきょ)タイプ:免疫力の低下型

・“気”も“血”も不足し、身体の防御力が落ちて感染しやすいタイプ。体力・気の巡りが弱い。
・膀胱の「押し出す力」が低下し、尿を完全に出し切れない、疲れると悪化しやすい、再発しやすいタイプ。

  • 特徴・症状:疲れやすい、風邪をひきやすい、尿が頻回だが勢いが弱い、顔色が悪い・めまい、舌が淡く、歯の痕がつく
  • 養生法:気虚では「無理をすると一気に悪化」しやすいので注意、特に発症直後は体を温かく保ち、出歩きすぎない
  • おすすめ食材:鶏肉、長芋、カボチャ、もち米、しょうが、はちみつ少量

3. 腎虚(じんきょ)タイプ

・高齢者、慢性化に多いタイプ。

  • 特徴・症状:腎の温める力・水を管理する力が弱い、頻尿、夜間尿、足腰の冷え、疲れやすい、中高年の方、慢性化タイプに多い
  • 養生法:腰や下腹部を温め、十分な休養をとる、腎を養う食事で体力を補う
  • おすすめ食材:黒ゴマ、黒豆、クコの実、羊肉、海藻類(わかめ、ひじき)、くるみ、ナッツ類

4.気滞血瘀(きたいけつお)タイプ

・ストレス、血流悪化からくる膀胱炎が起きやすい。

  • 特徴・症状:ストレスで気が滞りやすい、下腹部に張り、痛み、灼熱感、冷え × ストレスが絡む、職場ストレスや家庭の緊張が続くと悪化
  • 養生法:膀胱は感情(怒り・緊張)の影響を受けやすい臓腑→深呼吸、温めると楽だが、熱がこもりやすいので注意
  • おすすめ食材:玉ねぎ、ネギ、生姜、紫蘇、みかんの皮(陳皮)、青背魚

季節ごとの養生

春(肝の季節):ストレスや感情が高ぶる季節

  • 特徴:春は「肝(かん)」が活発になり、気の巡りが乱れやすくなります。ストレスや緊張が続くと、肝の働きが滞り、膀胱の働きにも影響して炎症や頻尿を起こしやすくなります。
  • 養生法
    • 気分転換を心がけ、ストレスをためない
    • 軽い運動や深呼吸で「気」を巡らせる
  • おすすめ食材:•肝の働きを助ける酸味のある食材(梅、柑橘類)
    •血流を良くする食材(にんじん、セロリ、しそ)
    •炎症を抑える食材(小松菜、大根、れんこん)

夏(心の季節):水分コントロール

  • 特徴:夏は「湿気」と「熱」がこもりやすく、膀胱に“湿熱”がたまると炎症が起こりやすくなります。冷たい飲み物の摂りすぎも、胃腸や腎を弱らせる原因になります。
  • 養生法
    • 水分をこまめに補給(冷たい飲み物ではなく常温で)>
    • 汗をかいたら、清潔を保ち、下半身を冷やさない
  • おすすめ食材:•余分な湿を取る食材(はと麦、とうもろこしのひげ茶、冬瓜)
    •熱を冷ます食材(きゅうり、トマト、スイカ)
    •胃腸を守る食材(山芋、おくら)

秋(肺の季節):乾燥対策と代謝アップが鍵

  • 特徴:空気が乾燥し、体の潤い(津液)が失われやすくなる時期です。この“潤い不足”は、膀胱や尿路の粘膜を弱らせ、外からの刺激や細菌の影響を受けやすくします。肺や皮膚が乾くと体内の「水の巡り」にも影響し、膀胱炎の再発や残尿感が出やすくなります。
  • 養生法
    • 体を潤し、尿路粘膜を守る
    • 腹・腰・足元を冷やさない工夫をしましょう→膀胱の血流を保ち、排尿機能を安定させることができる
  • おすすめ食材:•白い食材→れんこん、白きくらげ、梨、百合根
    •髪の栄養→黒ごま、松の実
    •血を補う→クコの実、黒きくらげ、ほうれん草

冬(腎の季節):排尿力が落ちるため「尿の滞り」が発生し、炎症が起こりやすくなります。

  • 特徴:冬は「腎」が弱りやすく、体の冷えとともに膀胱の働きも低下します。冷えによる血行不良が膀胱炎を悪化させる原因にもなります。
  • 養生法
    • 下腹部・腰・足元を冷やさない
    • 規則正しい生活で体力を温存
  • おすすめ食材:根菜類、生姜、黒酢、黒豆、クルミ、長芋、にんにく

一陽館薬局ならではのサポート

膀胱炎を「一時的な感染症」としてだけで捉えるのではなく、なぜ繰り返すのか、なぜ治りにくいのかという“体の背景”に目を向けたサポートを大切にしています。
西洋医学では、膀胱炎の多くが大腸菌などの細菌感染によって起こり、抗菌薬による治療が基本となります。しかし、実際は「治ったはずなのに再発を繰り返す」「検査では異常がないのに不快感が残る」といったお悩みを抱える方が少なくありません。

漢方では、こうした膀胱炎を体質の乱れとし、気の不足による排尿力の低下、腎の弱りによる冷えや頻尿、ストレスによる気の滞りや血流不良等ととらえます。同じ膀胱炎でも原因は人それぞれ異なります。舌の状態や体の冷え、生活リズム、ストレスのかかり方まで丁寧にお伺いし、その方に合った体質を見極めます。

また、再発を防ぐための生活養生と食養生を重視しているのも一陽館薬局の特徴です。下半身を冷やさない工夫、水分の摂り方、胃腸をいたわる食事内容、睡眠の質の整え方など、日常の小さな積み重ねが膀胱の回復力を高めることを、わかりやすくお伝えしています。

特に、慢性化・再発を繰り返す膀胱炎では、じっくりと体質を整えていく視点が重要になります。経過を一緒に確認しながら微調整を重ね、その方の体が本来持っている「治そうとする力」を引き出すサポートを行っています。

膀胱炎でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。