漢方大辞典
胃酸過多症
2026年1月30日

胃酸過多症は、胃の酸が過剰に分泌されることで、胸やけ・胃もたれ・胃痛・胃の不快感などの症状が繰り返し起こる状態です。
生活リズムや食生活の乱れ、ストレスが症状を悪化させることも多く、日常生活に支障をきたすことがあります。
- 胃がヒリヒリする、胸やけがしやすい
- ストレスがかかると胃の不快感やゲップが出る
- 顔や目が赤くなりやすい、イライラしやすい
- 喉が渇きやすく、冷たい飲み物をよく欲しがる
- 舌が赤い、または苔が厚くベタつく
- 便秘や下痢を繰り返すことがある
胃酸過多症の主な要因
1. 胃酸分泌調節の異常(自律神経・ホルモン)
胃酸分泌は以下でコントロールされています。迷走神経(副交感神経)ガストリン(ホルモン)ヒスタミン問題が起きると、ストレス、緊張状態が長引く、不規則な生活により**「胃酸スイッチが入りっぱなし」**になります。
2. 精神的ストレス・自律神経失調
仕事・人間関係のストレス、睡眠不足、不安・緊張
・交感神経優位
・胃粘膜血流低下
・防御力低下+胃酸刺激増加
結果、胸やけ・胃痛・空腹時痛が出やすくなります。
3. ピロリ菌感染
ピロリ菌は胃粘膜に慢性炎症を起こす。胃の部位によっては、胃酸が過剰に出る、または調節が乱れる。特に十二指腸潰瘍型では、胃酸分泌が過剰になりやすいとされます。
4. 胃粘膜防御機構の低下
胃は本来、粘液、血流、プロスタグランジンで守られていますが、防御が壊れる原因として、加齢、ストレス、薬剤、栄養不足あり、胃酸が「攻撃」に転じる事があります。
漢方的にみる胃酸過多症の主な要因
1. 胃熱タイプ
・胃に熱がこもる
- 特徴・症状:胸やけ、胃のもたれ、口の渇き、胸部の熱感、口臭
- 養生法:冷やす食材や胃の熱を和らげるものを摂取し、辛いもの・刺激物・アルコールを控える
- おすすめ食材:梨、りんご、バナナ、冬瓜、きゅうり、トマト、緑豆、はと麦、豆腐、菊花茶、麦茶、白湯
2. 肝気犯胃タイプ
・ストレスによる胃の気逆
- 特徴・症状:胃痛、胸やけ、げっぷ、イライラ、食欲不振
- 養生法:気の流れを整える食材とリラックス習慣を取り入れる
- おすすめ食材:セロリ、しそ、陳皮、香味野菜、山芋、大根、人参、ほうじ茶、ラベンダー茶、カモミール茶
3. 脾胃虚弱タイプ
・消化吸収力の低下
- 特徴・症状:食後すぐに胃が重い、げっぷや胃もたれ、疲れやすい
- 養生法:消化にやさしく、胃を温める食材で脾胃を補う
- おすすめ食材:山芋、かぼちゃ、さつまいも、にんじん、鶏肉、白身魚、大豆製品、おかゆ、うどん、温かいスープ
4. 陰虚胃熱タイプ
・体の潤い不足で胃に熱がこもる
- 特徴・症状:口の渇き、胃もたれ、胸やけ、便秘気味、口内炎
- 養生法::体の潤いを補い、胃熱を鎮める
- おすすめ食材:梨、白きくらげ、百合根、山芋、豆乳、蜂蜜(少量)、黒ごま、緑豆、菊花茶、麦茶
季節ごとの養生
春(風の季節):「巡らせる」ことが最優先
- 特徴:イライラや怒りは肝に影響し、胃の働きを乱す原因に。(胸やけ、みぞおちの張り、食後の不快感)
- 養生法
- ストレスを溜めない(深呼吸・軽い散歩・夜更かしを避ける)胃を刺激しない食事
- 胃を刺激しない食事
- おすすめ食材:キャベツ、菜の花、大根、セロリ、しじみ
夏(心の季節):休ませる・冷ましすぎない
- 特徴:冷たい飲食の摂りすぎ、アルコール・刺激物、暑さによる胃粘膜の疲弊(胸やけ、口苦、喉の灼熱感、食後すぐの胃もたれ)
- 養生法
- 冷たい飲み物のとりすぎに注意(胃腸を冷やすと脾胃が胃粘膜、胃壁が荒れる)
- 食事は腹八分
- おすすめ食材:きゅうり、冬瓜、トマト(加熱がおすすめ)、豆腐、緑豆
秋(肺の季節):潤して整える
- 特徴:空気の乾燥は胃の潤いも奪うため、加湿器や水分補給で胃を守る(空腹時の胃痛、乾いた胸やけ、食後のヒリヒリ感)
- 養生法
- スープや煮物で胃腸を温め、消化を助ける
- 加湿器を利用して空気の乾燥を防ぐ
- おすすめ食材:山芋、れんこん、白ごま、梨(加熱)、百合根
冬(腎の季節):温めて蓄える
- 特徴:冷えによる血流低下、胃粘膜防御力の低下、年末年始の暴飲暴食(胃痛、胸やけ、夜間症状、冷えると悪化)
- 養生法
- 消化器への負担を減らすため、ゆっくり食事・休息をとる
- 下半身やお腹を中心に衣服で保温し、胃腸の冷えを防ぐ
- おすすめ食材:かぼちゃ、にんじん、生姜(少量)、白菜、鶏肉
一陽館薬局ならではのサポート
胃酸過多は、「胃酸が多いから抑える」という単純な問題ではありません。
胃酸分泌の過剰、胃粘膜防御機構の低下、自律神経の乱れ、ストレス、薬剤性、ピロリ菌感染など、多因子が絡み合う機能性疾患として捉えられています。
一時的に胃酸を抑える薬は症状を和らげますが、
「なぜ胃酸が過剰に分泌されているのか」
「なぜ胃が刺激に弱くなっているのか」
という根本要因に目を向けなければ、再発を繰り返すことが少なくありません。
胃粘膜の修復力を高め、自律神経の緊張を緩め、ストレス耐性を強化し胃酸分泌のリズムを整える。
一時的対処ではなく「再発しにくい体づくり」が大切です。
一陽館薬局の目的は、薬だけに頼るのではなく体が本来持つ“整える力”を引き出すこと、症状を抑えることではなく、“揺れにくい胃”を育てることです。
胃酸過多症でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。


