漢方大辞典
糖尿病
2025年12月5日

糖尿病は「血糖が高い状態が続く病気」として知られていますが、その背景にはさまざまな要因があります。インスリンの作用不足、食べすぎや運動不足といった生活習慣、さらに遺伝的体質や加齢による代謝の低下などが重なり合って進行していきます。
- 甘い物や脂っこい食事を好む
- トイレが近く、尿の回数や量が多い
- 喉が渇きやすく、水分を多くとる
- ストレスが多く、間食や過食で発散しやすい
- 家族に糖尿病の方がいる(遺伝的体質)
- 舌が赤く、苔が厚い or 舌に亀裂がある
糖尿病の主な要因
1.ストレスや生活習慣
精神的・身体的なストレス、過労、睡眠不足、食生活の乱れや食べ過ぎは、糖尿病を引き起こす大きな要因となります。
2. 肥満
特に内臓脂肪蓄積の過多は、原因の1つになる可能性があります。
3. 喫煙・過度の飲酒
過度の喫煙や飲酒は、糖尿病のリスクを高める可能性があります。
4. 遺伝的要因
家族に糖尿病の方がいる場合、発症リスクが高まることが知られています。まだ不明な点も多いですが、遺伝的素因が示唆されています。
漢方的にみる糖尿病の主な要因
漢方では、胃腸症状は「脾・胃・肝・腎・気血」のバランスの乱れが関与すると考えます。
1. 陰虚内熱(いんきょないねつ)
- 特徴・症状:口や喉の渇きが強い、水をよく飲む、尿の量が多い、体が熱っぽい、舌が赤く苔が少ない
- 養生法:水分や湿をためない食生活を心がけ、温かく消化の良い食事を意識する
- おすすめ食材:冬瓜、緑豆、れんこん、セロリ、きゅうり、はと麦茶
2. 脾虚湿困(ひきょしつこん)
- 特徴・症状:疲れやすい、食後に眠い、体が重だるい、むくみやすい、便が軟らかい、舌が淡く苔が白い
- 養生法:深呼吸、散歩、ストレッチなどで気を巡らせ、ストレスをためない
- おすすめ食材:セロリ、しそ、陳皮、ラベンダー茶、カモミール茶
3. 気陰両虚(きいんりょうきょ)
- 特徴・症状:口の渇きがあるが水分を多く取れない、倦怠感、息切れ、食欲不振、痩せやすい、舌が淡く乾燥
- 養生法:腰や下腹部を温め、十分な休養をとる、腎を養う食事で体力を補う
- おすすめ食材:黒ゴマ、黒豆、クコの実、羊肉、海藻類(わかめ、ひじき)、くるみ、ナッツ類
4. 肝鬱気滞(かんうつきたい)
- 特徴・症状:イライラしやすい、暴飲暴食でストレス発散、胸脇部の張り、口の苦味、便秘がち、舌紅で苔薄黄
- 養生法:温かく消化の良い食事を心がけ、軽い運動で気血の巡りを促す
- おすすめ食材:山芋、かぼちゃ、大豆製品、鶏肉、根菜類(にんじん、レンコン、ゴボウ)、はと麦
季節ごとの養生
春(肝の季節):ストレスや感情が高ぶる季節
- 特徴:春は「肝」が盛んになりやすく、気の巡りが乱れるとイライラ・暴飲暴食に走りやすい時期です。
- 養生法
- 深呼吸・散歩・ストレッチで肝の働きを整える→ 自律神経が整い、インスリン感受性も向上
- 睡眠リズムを整える→ 春は睡眠の乱れからコルチゾール上昇 → 血糖上昇へ
- おすすめ食材:香りのある食材で“巡り”を改善→ しそ、セロリ、三つ葉、柑橘類、パクチー
血糖スパイクを抑える食物繊維を多く→ 海藻、きのこ、雑穀、オクラ、葉物野菜
春のNG→ 菓子パン類・甘味飲料・暴食(気滞を悪化させ、食後高血糖に直結)
・気温差が大きく、自律神経が不安定になり 血糖値の乱高下が起こりやすい
・「肝」が高ぶり、気滞(ストレス過多)→脾を攻める=食欲や血糖調節が不安定に
・花粉症やアレルギーで炎症が高まり、インスリン抵抗性が悪化することもある
夏(心の季節):水分コントロール
- 特徴:夏は「心」に負担がかかり、汗をかきやすく津液(体の潤い)が消耗し、口渇・多飲が悪化しやすい季節です。
- 養生法
- 室内外の温度差を小さく保ち、自律神経の負担を減らす
- 30分以内の軽い運動を毎日(筋の糖取り込み↑)
- 体にこもった熱を冷まして血糖値も安定
- おすすめ食材:湿を抜く(きゅうり、緑豆、はと麦、なす)余分な熱を冷ます(ゴーヤ、トマト、セロリ、レタス、スイカを少量)
・脱水により血糖値が濃縮して上がる
・冷たい飲食の摂り過ぎで 脾胃が弱り、糖代謝が悪化
・発汗量増加で 電解質不足 → 倦怠感・低血糖・高血糖の両リスク
秋(肺の季節):乾燥対策と代謝アップが鍵
- 特徴:秋は乾燥により「肺陰」が傷つき、咽の渇きや空咳、肌の乾燥が出やすい時期です。糖尿病の「陰虚」タイプは悪化しやすい傾向があります。
・空気の乾燥で 肺・皮膚の水分が不足 → 体内の“陰”が減る→ 口渇・多飲・血糖上昇が起こりやすい
・気温が下がり始めると インスリン抵抗性が少し増える(防寒のため代謝が変化) - 養生法
- 腸内環境を整える発酵食品→ 糖代謝の改善・炎症抑制に有効
- 乾燥対策(加湿器・白湯)で体内の水分バランス維持
- 気温差に備えて体を冷やさない→ 皮膚冷却はインスリン感受性を低下させる場合も
- おすすめ食材:れんこん、梨(肺を潤す)、白木耳(シロキクラゲ)、豆腐、ごま、はちみつ、アーモンド
冬(腎の季節):「冷え」を防ぐことが血糖管理の核心
- 特徴:冬は寒さで「腎」が消耗しやすく、糖尿病の根本である腎虚を悪化させやすい時期です。
・気温が低いと インスリン抵抗性が増加
・冷えにより「腎陽」が弱る→ 代謝が下がり、糖の処理能力が落ちる
・運動不足が加わると血糖が上昇しやすい - 養生法
- 入浴(38〜40℃)で血流改善 → 末梢の糖取り込みが向上
- 冬の運動は特に重要→ 10〜20分の軽めの筋トレや散歩で血糖値改善
- 足元と腰の保温(腎を守る)→ 下半身の冷えは代謝低下を招く
- おすすめ食材:生姜、黒酢、黒豆、クルミ、長芋、にんにく
一陽館薬局ならではのサポート
糖尿病は、西洋医学的にはインスリンの分泌や作用の低下によって慢性的な高血糖状態となり、進行すると網膜症や腎症、神経障害などの合併症を引き起こす可能性があります。そのため、血糖値を安定させるための食事療法や運動、薬物療法が基本とされています。
一方、漢方の視点では糖尿病を「消渇(しょうかつ)」と捉え、体内の気・血・水の不調和によって現れるものと考えます。特に、胃腸の働きが弱く食べ物から十分なエネルギーを作れない「脾虚」、体の根本的なエネルギー不足である「腎虚」、潤いが足りず口渇や不眠を伴いやすい「陰虚」といった体質が大きく関わります。
さらに、四季の変化も糖尿病の症状に影響を及ぼします。
このように、西洋医学的な管理と漢方的な体質改善の両面から取り組むことが、糖尿病においてはとても大切です。一陽館薬局では、お悩みに応じた漢方薬のご提案を行い、疲労感・口渇・不眠・しびれなどの今お困りの体の不調を根本から見直し、改善へと導きます。
糖尿病は単に数値を下げるだけでなく、体全体のバランスを整えることが長期的な安定につながります。一陽館薬局は、西洋医学と漢方の双方の知恵を生かし、より健やかに日々を過ごしていただけるよう、きめ細やかなサポートを続けてまいります。
糖尿病でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。


