漢方大辞典

胃腸に関するお悩み

潰瘍性大腸炎

2026年6月23日

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍が生じる炎症性腸疾患(IBD)の一つです。

  • 便に血液が混じることがある
  • 腸の炎症により、頻繁に便意を感じ、排便回数が増えることがある
  • 長期的な下痢や食欲不振、吸収不良により体重が減少することがある
  • 疲労感や無力感が強く感じられることがある
  • 皮膚に発疹が現れることがある

潰瘍性大腸炎の主な要因

1. 免疫系の異常

・潰瘍性大腸炎は自己免疫疾患に分類されます。免疫系が誤って腸の正常な細胞を攻撃し、炎症を引き起こすことが主な原因とされています。正常であれば免疫系は外部から侵入する病原菌を攻撃しますが、潰瘍性大腸炎の場合、腸内の細菌や食物成分に対して過剰な免疫反応を示すことになります。

2. 遺伝的要因

・遺伝的な素因が関与しているとされています。潰瘍性大腸炎は家族内で発症することが多く、遺伝子変異が炎症反応に影響を与えると考えられています。ただし、遺伝的要因だけでは発症しないため、環境要因と組み合わさることが重要です。

3. 環境因子

・食生活: 高脂肪や加工食品、肉を多く含む食事がリスク要因になると考えられています。
・喫煙: 喫煙は潰瘍性大腸炎の発症に関与することは少ないですが、既に発症している患者の症状を悪化させる可能性があります。
・ストレス: 精神的なストレスが病状を悪化させることがありますが、ストレスが原因そのものというわけではありません。

4. 腸内細菌叢

腸内フローラ(腸内細菌群)のバランスが崩れることが炎症を引き起こす可能性があり、これを調整することが治療に重要とされています。

漢方的にみる潰瘍性大腸炎の主な要因

1. 肝鬱気滞(かんうつきたい)

ストレスや精神的緊張によって「気」の流れが滞った状態。

  • 特徴・症状:下痢、血便、肛門の熱感、腹痛、臭いの強い便
  • 養生法:脂っこいものを控える、甘いものを控える、アルコールを控える、規則正しい食事
  • おすすめ食材:大根、冬瓜、はとむぎ、白菜

2.  脾虚湿盛(ひきょしつせい)タイプ

胃腸機能が弱く、余分な水分が溜まるタイプ。慢性的な下痢の方に多い。

  • 特徴・症状:軟便、疲れやすい、食欲不振、再発を繰り返す
  • 養生法:冷たい飲食を避ける、よく噛んで食べる、食べ過ぎない、十分な休養
  • おすすめ食材:山芋、かぼちゃ、米、にんじん

3.  陰虚内熱(いんきょないねつ)タイプ

長期罹患や慢性炎症によって体液が不足し、熱を持った状態。

  • 特徴・症状:微熱、寝汗、口渇、便に血が混じる
  • 養生法:睡眠重視、過労を避ける
  • おすすめ食材:白きくらげ、豆腐、梨、れんこん、百合根

4. 血瘀(けつお)タイプ

慢性炎症により腸の血流が悪化した状態、長期罹患の方に多い。

  • 特徴・症状:刺すような腹痛、血便、痛む場所が固定
  • 養生法:血流改善、冷え対策
  • おすすめ食材:玉ねぎ、青魚、黒豆、黒きくらげ

季節ごとの養生

春(風の季節):「巡らせる」ことが最優先

  • 特徴:春は自律神経が乱れやすく、腹痛、下痢、お腹の張り、便意増加、イライラ、不安感が出やすくなります。特にストレスによる再燃が増える時期です。
  • 養生法
    • 朝日を浴びる、散歩や軽いストレッチをする<
    • 深呼吸を心掛け、趣味の時間と楽しみ、頑張り過ぎない
  • おすすめ食材:しそ、春菊、菜の花、三つ葉、柑橘類

夏(心の季節):休ませる・冷ましすぎない

  • 特徴:暑さによる消耗と冷房による冷えが問題になります。下痢、食欲不振、倦怠感、脱水、腹痛などが起こりやすくなります。
  • 養生法
    • 冷たい飲み物を控える、氷入り飲料を減らす
    • 少量頻回の水分補給を心掛ける
  • おすすめ食材:白身魚、豆腐、オクラ、かぼちゃ、山芋

秋(肺の季節):潤して整える

  • 特徴:乾燥により腸粘膜が弱りやすい季節です。便に血が混じる、腹部違和感、肌荒れ、喉の乾燥に注意。
  • 養生法
    • 水分を適度に摂る
    • 加湿を心がける
  • おすすめ食材:れんこん、白きくらげ、梨、百合根、長芋

冬(腎の季節):温めて蓄える

  • 特徴:冷えによる血流低下で、腹痛、下痢、倦怠感、再燃が起こりやすくなります。
  • 養生法
    • 腹巻、足首を温める、湯船に浸かる
    • 十分な栄養、適度な運動
  • おすすめ食材:生姜、にんじん、かぼちゃ、根菜類、味噌汁

一陽館薬局ならではのサポート

潰瘍性大腸炎は、西洋医学においては免疫異常、腸内細菌叢(腸内フローラ)の乱れ、腸管バリア機能の低下、遺伝的要因、ストレスなどが複雑に関与する自己免疫性疾患と考えられています。近年では、腸と脳が相互に影響し合う「脳腸相関」の研究も進み、自律神経やストレスが症状の悪化や再燃に深く関わることが分かってきました。

一陽館薬局では、こうした西洋医学的な知見を踏まえながら、潰瘍性大腸炎を単なる腸の病気としてではなく、「免疫・腸内環境・自律神経・栄養状態のバランスが崩れた結果として現れる全身性の不調」と捉えています。

潰瘍性大腸炎でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。