漢方大辞典
帯状疱疹
2026年7月18日

帯状疱疹は、水ぼうそう(水痘)の原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスが、初感染後も脊髄や脳神経の神経節に潜伏し、免疫力の低下をきっかけに再活性化することで発症する疾患です。
皮膚の発疹だけではなく、神経に炎症を起こすため、強い痛みを伴うことが特徴です。特に50歳以上では発症率が高くなり、治癒後も痛みが続く帯状疱疹後神経痛へ移行することがあります。
- ピリピリ・チクチク焼けるような痛み
- 赤い発疹が現れ神経に沿って帯状に広がる
- 赤い発疹の上に小さな水ぶくれが多数できる
- ズキズキ刺すような痛み
- むずむずする強いかゆみ
帯状疱疹の主な要因
1. 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化
幼少期に水ぼうそうに感染すると、ウイルスは完全には排除されず、三叉神経節、脊髄後根神経節などに潜伏します。
加齢や免疫力低下をきっかけに再び増殖し、神経を伝って皮膚へ移動することで帯状疱疹を発症します。
2. 免疫機能の低下
帯状疱疹は細胞性免疫(T細胞免疫)の低下と密接に関係しています。
加齢に伴いTリンパ球の働きが低下すると、潜伏していたウイルスを抑え込めなくなります。
3. 加齢
加齢に伴い細胞性免疫低下、神経修復能力低下が起こるためです。70歳以上では帯状疱疹後神経痛のリスクも高まります。
4. 精神的ストレス
強いストレスは視床下部→自律神経の乱れ→コルチゾール分泌異常→免疫低下を引き起こし、帯状疱疹発症の誘因になります。
漢方的にみる帯状疱疹の主な要因
1. 肝胆湿熱(かんたんしつねつ)タイプ
ストレスや脂っこい食事、飲酒などにより、肝胆に湿熱がたまることで炎症が強く現れます。
- 特徴・症状:赤い発疹、水ぶくれ、強い灼熱痛、イライラ、口が苦い、尿が濃い
- 養生法:発疹部を清潔に保ち、蒸れを防ぐ、激しい運動や飲酒は控え、炎症を悪化させない
- おすすめ食材:はとむぎ、冬瓜、きゅうり、セロリ、トマト、大根、緑豆、豆腐、苦瓜
2. 肝火上炎(かんかじょうえん)タイプ
精神的ストレスや怒りが続き、「肝」の熱が高まることで炎症や痛みが強くなるタイプです。
- 特徴・症状:顔面の帯状疱疹、強い痛み、頭痛、のぼせ、不眠、イライラ
- 養生法:十分な睡眠を確保する、怒りや緊張をため込まない
- おすすめ食材:春菊、セロリ、三つ葉、菊花茶、ミント、柑橘類、豆腐
3. 血熱(けつねつ)タイプ
血に熱がこもり、皮膚の炎症が強く現れるタイプです。
- 特徴・症状:発赤、水疱、かゆみ、発熱、熱感
- 養生法:長時間の入浴やサウナを避ける、紫外線対策をする
- おすすめ食材:トマト、れんこん、白菜、大根、豆腐、梨、きゅうり
季節ごとの養生
春(肝を整える季節):気温差や環境変化で自律神経が乱れ、ストレスホルモンが増加しやすい時期
- 特徴:春は寒暖差や環境の変化で自律神経が乱れやすく、ストレスによる免疫力低下から帯状疱疹を発症しやすい季節です。
- 養生法
- 十分な睡眠を確保する、軽いウォーキングやストレッチを行う
- 深呼吸で気分を整える、花粉症などのアレルギー対策を行う
- おすすめ食材:菜の花、春菊、三つ葉、新玉ねぎ、山菜
柑橘類や緑黄色野菜にはビタミンCやポリフェノールが豊富で、抗酸化作用によって慢性炎症の軽減に役立つと考えられています。
夏(炎症と消耗を防ぐ季節):発汗によるミネラルや水分の喪失、冷房による冷えが血流や自律神経に影響
- 特徴:暑さや発汗により「気」と「津液」が消耗し、疲労や免疫力低下を招きやすい季節です。冷房による冷えや睡眠不足も発症・悪化の要因となります。
- 養生法
- 冷房で体を冷やし過ぎない、こまめに水分を補給する
- 冷たい飲食物を摂り過ぎない、十分な睡眠をとる
- おすすめ食材:オクラ、モロヘイヤ、枝豆、冬瓜、トマト、豆腐
たんぱく質は組織修復に欠かせず、オクラやモロヘイヤに含まれる食物繊維は腸内環境を整えるのに役立ちます。
秋(乾燥と回復の季節):日照時間の減少によりセロトニン分泌が低下し、気分の変動が起こりやすくなります
- 特徴:乾燥によって皮膚や粘膜のバリア機能が低下し、夏の疲れも重なって免疫力が落ちやすい季節です。
- 養生法
- 室内を適度に加湿する、夜更かしを避ける
- 胃腸をいたわる食事を心がける、軽い運動で血流を促す
- おすすめ食材:梨、れんこん、山芋、白きくらげ、百合根、さつまいも
鉄分や葉酸、ビタミンCを組み合わせて摂ることで、貧血予防や疲労回復をサポートします。
冬(冷えを防ぎ血流を守る季節):寒さによる血管収縮で骨盤内の血流が低下し、炎症部位の痛みが増強しやすくなります
- 特徴:寒さと乾燥により免疫機能が低下しやすく、血流も悪くなるため、神経痛が残りやすい季節です。
- 養生法
- 首・肩・腰を冷やさない、湯船にゆっくり浸かる
- 十分な睡眠と休養をとる、感染症予防を徹底する
- おすすめ食材:生姜、長ねぎ、ごぼう、にんじん、黒豆、黒ごま、鮭、鶏肉
鮭に含まれるアスタキサンチンは高い抗酸化作用を持ち、紫外線や脂質過酸化反応から体を守る働きがあります。
一陽館薬局ならではのサポート
帯状疱疹は、皮膚にできる発疹だけの病気ではありません。西洋医学では、水痘・帯状疱疹ウイルスが加齢や過労、ストレス、睡眠不足
糖尿病などによる細胞性免疫(T細胞免疫)の低下をきっかけに再活性化し、神経に炎症を起こすことで発症すると考えられています。
急性期には抗ウイルス薬による早期治療が重要であり、神経障害を最小限に抑えることが、帯状疱疹後神経痛の予防にもつながります。
さらに、近年では腸内環境と免疫機能の深い関わりや、慢性的なストレス・睡眠不足が免疫細胞の働きを低下させることが明らかになっています。
一陽館薬局では、西洋医学の知見も取り入れながら、食事や栄養、睡眠、生活習慣、ストレスケアまで含めた養生法をご提案し、免疫機能を整え、
帯状疱疹後の神経痛をできるだけ残さないこと、そして再発しにくい身体を育てる体づくりを大切にしています。
帯状疱疹でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、お一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。


