漢方大辞典
五十肩
2026年8月3日

五十肩(肩関節周囲炎)は、40~60代に多くみられる肩関節の炎症性疾患です。
腕を上げたり回したときに激しい痛みを感じたりや、夜中にズキズキと痛み眠れないといった症状が出ます。
- 肩の奥がズキズキ痛む
- 腕を動かすと痛い
- 痛みが肩から腕まで広がる
- 寝返りができない
- 動かし始めが痛い
五十肩の主な要因
1. 加齢による組織の変性
40歳以降になると、関節包、腱板、靭帯、滑液包の柔軟性が低下し、小さな損傷や炎症が起こりやすくなります。
2. 慢性的な炎症
肩関節包に炎症が起こることで、痛み、腫れ、関節拘縮が起こります。
3. 血流低下
肩周囲の血流が悪くなると、組織修復が遅れる、炎症が長引く、痛みが慢性化する原因になります。
4. 筋力低下
運動不足や加齢により、肩甲骨周囲筋、インナーマッスルが弱くなると肩関節へ負担が集中します。
漢方的にみる五十肩の主な要因
1. 肝腎不足タイプ
高齢者に多いタイプです。
- 特徴・症状:肩の強い痛み、夜間痛、寝返りが痛い、腕が上がらない
- 養生法:足腰を冷やさない、適度な筋力維持、夜更かしを避ける、体力を消耗しすぎない
- おすすめ食材:黒豆、黒ごま、くるみ、海藻類、牡蠣、えび、山芋
2. 瘀血(おけつ)タイプ
慢性化したタイプです。
- 特徴・症状:刺すような痛み、夜間痛、動かすと激痛、肩が硬い
- 養生法:温めて血流を促す、同じ姿勢を長時間続けない、軽いストレッチで肩周囲を動かす、入浴で体を温める
- おすすめ食材:玉ねぎ、にら、ねぎ、黒きくらげ、青魚(いわし、さば、さんま)、黒豆
3. 気血両虚タイプ
回復が遅いタイプです。
- 特徴・症状:疲れやすい、筋力低下、肩が上がらない、治りが遅い
- 養生法:睡眠をしっかり取る、食事を抜かない、胃腸を整える、無理な運動より継続できる軽い運動を
- おすすめ食材:山芋、米、もち米、鶏肉、卵、牛肉、黒ごま、なつめ
季節ごとの養生
春(肝を整える季節):春は気の巡りが乱れやすい季節。ストレスをためず、肩甲骨をゆっくり動かしましょう。
- 特徴:寒暖差や気圧変化によって自律神経が乱れ、血流が悪くなりやすい季節です。新生活によるストレスや疲労も重なり、肩の筋肉が緊張しやすくなります。
- 養生法
- 軽いストレッチで肩甲骨を動かす
- ウォーキング等で全身の血流を促す
- おすすめ食材:菜の花、春キャベツ、新玉ねぎ、三つ葉、たけのこ
夏(炎症と消耗を防ぐ季節):冷房による冷えや冷たい飲食で、肩の血流が低下しやすい時期です。
- 特徴:冷房による冷えや発汗による水分・ミネラル不足で筋肉がこわばりやすくなります。
屋内外の温度差で自律神経も乱れやすく、肩の痛みを感じやすくなります。 - 養生法
- 冷房の風を直接肩に当てない
- 軽い体操で肩周囲を動かす
- おすすめ食材:オクラ、モロヘイヤ、枝豆、山芋、鶏肉、豆腐
秋(乾燥と回復の季節):乾燥で体の潤いが不足しやすい季節。
- 特徴:朝晩の冷え込みと乾燥により筋肉がこわばりやすくなります。夏の疲れが残っていると、回復力も低下しやすい時期です。
- 養生法
- 肩を冷やさない服装を心がける
- 湯船にゆっくり浸かる
- おすすめ食材:れんこん、山芋、ごぼう、さつまいも、きのこ類
冬(冷えを防ぎ血流を守る季節):寒さによる血管収縮で骨盤内の血流が低下し、炎症部位の痛みが増強しやすくなります。
- 特徴:寒さで血管が収縮し、血流が悪化するため、痛みやこわばりが最も強く出やすい季節です。
- 養生法
- 首・肩・背中を温める
- 急な動作を避ける
- おすすめ食材:生姜、長ねぎ、にら、ごぼう、黒豆、黒ごま、鮭、根菜類
一陽館薬局ならではのサポート
五十肩は「年齢のせい」と片づけられがちですが、西洋医学では肩関節周囲の炎症や組織の変性、血流低下、筋力低下、自律神経の影響など、複数の要因が重なって起こることがわかっています。
漢方では、風・寒・湿・瘀血などによる経絡の滞りだけでなく、加齢に伴う肝腎不足や、回復力の低下につながる気血不足にも着目します。
そのため、痛みを和らげるだけでなく、血流を促し、筋肉や腱の回復を支え、体全体の土台を整えることが大切です。
痛みの性質や可動域、冷えの有無、睡眠や生活習慣まで丁寧に伺い、お一人おひとりの体質に合わせた漢方薬と養生法をご提案し、再発しにくく、動きやすい身体づくりをサポートしています。
五十肩でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、お一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。


