漢方大辞典
産後神経症
2026年6月3日

産後は、身体と心に大きな変化が訪れます。ホルモンバランスの急激な変動や育児によるストレス、体力の消耗などが重なることで、気分の不安定や不安感、疲労感、睡眠障害など、さまざまな症状が現れることがあります。
- 急に落ち込んだり、興奮したりする
- 赤ちゃんや育児への過度な心配
- やる気が出ない、何もできない
- 授乳や育児で睡眠が浅くなる
- 母親として自信が持てない
産後神経症の主な要因
1. 女性ホルモンの急激な変化
妊娠中に大量に分泌されていたエストロゲン、プロゲステロンが、出産後に急激に低下
2. セロトニン・ドーパミン低下
ホルモン変化は脳にも影響し、セロトニン(安心感)、ドーパミン(意欲)のバランスが乱れやすくなります。
3. 睡眠不足・慢性疲労
授乳・夜泣きによる睡眠不足で、自律神経乱れ、脳疲労、回復力低下が起こります。
4. 自律神経の乱れ
身体ストレスで交感神経優位が続くことで、動悸、不眠、不安、過緊張が起こりやすくなります。
漢方的にみる産後神経症の主な要因
1. 気虚タイプ
出産後は、身体のエネルギーが消耗しやすく、「気」が不足することがあります。
- 特徴・症状:疲労感、無力感、倦怠感、元気が出ない、集中力の低下、感情の不安定
- 養生法:睡眠をしっかり確保、無理せず休養
- おすすめ食材:長芋、白きくらげ、豆腐、鶏肉、卵
2. 血虚タイプ
産後は出産による大量の出血と、授乳による栄養分の消耗が原因で「血」が不足しやすくなります。
- 特徴・症状:精神的な不安定や疲労感、気分の落ち込み、頭痛、めまい
- 養生法:よく休む、昼寝もOK、深呼吸や軽い運動で気を巡らせる
- おすすめ食材:赤身肉(牛肉、豚肉)、なつめ、黒豆、レバー、緑黄色野菜(ほうれん草、ケールなど)
3. 肝気鬱結(かんきうっけつ)タイプ
育児によるストレスやホルモン変動により、肝の気が滞り、イライラや不安、落ち着きのない感情が強くなることがあります。
- 特徴・症状:イライラ、胸や脇の張り、頭痛、肩こり
- 養生法:軽い運動、深呼吸、散歩、会話や笑いで気を巡らせる
- おすすめ食材:陳皮、しそ、しょうが、黒酢など気を巡らせる食材
季節ごとの養生
春(肝の季節):「自律神経の乱れ」が出やすい季節
- 特徴:イライラ、情緒不安定、涙もろい、不安感、頭痛、肩こり
- 養生法
- 気の流れをスムーズにして、ストレスをためない
- 適度な運動(散歩・ストレッチ・深呼吸)で気を巡らせる
- おすすめ食材:セロリ、菜の花、春菊、しそ、柑橘類、ミント、ハト麦茶
夏(心の季節):「消耗・疲弊」が出やすい
- 特徴:強い疲労感、倦怠感、動悸、食欲低下、不眠、イライラ
- 養生法
- 発汗で消耗しやすいため、水分と気を補う
- 冷たい物のとりすぎは脾胃を冷やすので控える
- おすすめ食材:トマト、きゅうり、スイカ、冬瓜、緑豆、レタス、麦茶
秋(肺の季節):「気分の落ち込み」が出やすい
- 特徴:気分の落ち込み、孤独感、不安感、眠りが浅い、乾燥による不調
- 養生法
- 潤いを補い、乾燥から体を守る
- 深い呼吸や軽い運動で肺の働きを養う
- おすすめ食材:梨、白きくらげ、百合根、れんこん、はちみつ、大根、豆乳
冬(腎の季節):「冷え・血流低下」が悪化
- 特徴:無気力、抑うつ感、冷え、強い疲労感、朝起きられない
- 養生法
- 早寝遅起きでエネルギーを蓄える
- 下半身を温めて腎を守る
- おすすめ食材:黒豆、黒ゴマ、くるみ、山芋、羊肉、エビ、にら、海藻類
一陽館薬局ならではのサポート
産後は、赤ちゃんの誕生という喜びの一方で、お母さんの体には想像以上の負担がかかっています。
西洋医学では、産後神経症や産後うつの背景として、妊娠中に高かったエストロゲンやプロゲステロンが出産後に急激に低下することに加え、睡眠不足、育児による慢性疲労、自律神経の乱れ、さらにはセロトニンやドーパミンなど脳内神経伝達物質のバランス変化が関与すると考えられています。
また近年では、「脳腸相関(Brain-Gut Axis)」という考え方から、腸内環境の乱れが気分やストレス耐性、睡眠の質に影響を及ぼすことも注目されています。
一陽館薬局では、まずお母さんの体が本来持つ「回復する力」を取り戻すことを大切にしています。
産後の不調は一人ひとり異なります。
不安が強い方、眠れない方、イライラが目立つ方、極度の疲労感に悩む方では、必要なサポートも異なります。
お一人おひとりの体質や生活環境、その方に合わせた養生法や漢方的なケアをご提案し、
心と体の両面から産後のお母さんを支えるサポートを大切にしています。
産後神経症でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、お一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。


