漢方大辞典
手荒れ・手湿疹
2026年1月24日

手荒れや手湿疹は、水仕事や化学物質、乾燥、季節の変化、ストレスなどで皮膚バリアが壊れ、かゆみ・赤み・ひび割れが起こる状態です。
漢方では単なる皮膚のトラブルではなく、体内の不調やバランスの乱れが皮膚に現れたものと考えます。
- 皮膚が乾燥しやすく、細かいひび割れやカサつきが出やすい
- 冷え性で血流が悪く、手先が冷たくなりやすい
- 胃腸が弱く、栄養がうまく皮膚まで届かない
- 甘い物や油っこい食事を好み、湿(余分な水分)や熱がこもりやすい
- ストレスがたまりやすく、イライラや不眠を伴う
- 汗かきで手に湿気がこもる、または逆に乾燥が強すぎる
手荒れ・手湿疹の主な要因
1. 皮膚バリア機能の低下
頻繁な手洗い・消毒、洗剤やアルコールへの反復曝露、熱いお湯の使用により、皮脂・天然保湿因子(NMF)・角質細胞間脂質(セラミド)が失われ、
皮膚バリアが破壊されます。
2. 刺激性接触皮膚炎
台所用・業務用洗剤、シャンプー・石けん、ゴム手袋内の汗や蒸れ、紙・金属・溶剤類。これらの刺激が少量でも繰り返されることで慢性炎症を引き起こします。
3. アレルギー性接触皮膚炎
ゴム・ラテックス、金属(ニッケル、クロムなど)、防腐剤、香料、染料、薬剤(外用薬含む)。一度感作されると、微量の接触でも湿疹を繰り返すようになります。
4. 外用薬の長期使用による影響
ステロイド外用薬は炎症を抑える一方で、長期・不適切使用により皮膚菲薄化、バリア機能低下、再燃の繰り返しを招くことがあります。
漢方的にみる手荒れ・手湿疹の主な要因
1. 気血両虚タイプ
・過労・病気・加齢・出産・月経過多で気血不足
- 特徴・症状:乾燥、ひび割れ、色白、疲れやすい、冷えやすい
- 養生法:夜更かしを避け、血を消耗する生活を改める
- おすすめ食材:黒ごま、黒豆、レバー(少量・良質なもの)、なつめ、クコの実、小松菜、ほうれん草
2. 血熱タイプ
・ストレスや辛い物・脂っこい物・アルコール過多 → 血に熱 → 皮膚炎症
- 特徴・症状:赤み、熱感、夜間のかゆみ増悪、便秘傾向
- 養生法:心を休め、睡眠の質を整える
- おすすめ食材:トマト(少量)、きゅうり(加熱)、緑豆
3. 脾虚湿盛タイプ
・脾の機能低下 → 水湿停滞 → 皮膚に湿が滞る → ジュクジュク・カサカサ
- 特徴・症状:お腹・腰・足首を温める、汗をかきすぎない
- 養生法:温かく消化の良い食事で体力を補い、軽い運動で気血を巡らせる
- おすすめ食材:白米(お粥・やわらかめ)、山芋、かぼちゃ、にんじん、大豆製品(豆腐・湯葉)、鶏肉(特にむね)、はとむぎ、小豆
4. 陰虚血燥タイプ
・加齢・慢性疾患・睡眠不足 → 体液と血不足 → 皮膚乾燥・かゆみ
- 特徴・症状:乾燥、かゆみ、のぼせ、寝汗、午後からのかゆみ
- 養生法:ぬるめ(38〜40℃)、長湯しすぎない、入浴後の保湿を必ず
- おすすめ食材:白きくらげ、黒ごま、黒豆、なつめ、クコの実、山芋、湯葉、豆腐、卵(半熟・温かく)
季節ごとの養生
春(風の季節):「巡らせる」ことが最優先
- 特徴:春は肝の働きが活発になり、気の巡りが乱れると湿疹やかゆみが悪化しやすい季節です。
- 養生法
- 気の流れを整える → セロリ、春菊、しそなど香りのある野菜を取り入れる
- ストレスをためず、リラックスを心がける
- おすすめ食材:血を養う食材(クコの実、黒ごま、レバーなど)
夏(心の季節):休ませる・冷ましすぎない
- 特徴:夏は汗をかきやすく、湿熱がこもると赤みやジュクジュクした湿疹が出やすくなります。
- 養生法
- 冷たい飲み物のとりすぎに注意(胃腸を冷やすと脾胃が弱り皮膚が荒れる)
- 通気性の良い服で汗ムレを避け、こまめに拭いて清潔を保つ
- おすすめ食材:清熱解毒(熱を冷ます)食材 → きゅうり、トマト、ゴーヤ、緑豆
秋(肺の季節):潤して整える
- 特徴:秋は乾燥が強く、皮膚のバリア機能が低下し手荒れが悪化しやすい時期です。
- 養生法
- 保湿を念入りに行う
- 加湿器を利用して空気の乾燥を防ぐ
- おすすめ食材:潤いを与える食材 → 白ごま、梨、はちみつ、れんこん、百合根
冬(腎の季節):温めて蓄える
- 特徴:冬は冷えで血流が滞り、皮膚が乾燥・ひび割れしやすくなります。
- 養生法
- 冷たい水での洗い物を避け、ぬるま湯を使用する
- 睡眠を十分にとり、皮膚の再生力を高める
- おすすめ食材:黒豆、くるみ、山芋、羊肉、しょうが
一陽館薬局ならではのサポート
手荒れや手湿疹は、単なる外からの刺激だけでなく、体質や内臓の働きとも深く関わっていることがあります。
漢方では「皮膚は内臓の鏡」と考え、消化をつかさどる脾、潤いと呼吸をつかさどる肺、気血の巡りを調える肝、生命力を養う腎などのバランスが乱れることで、皮膚に不調が現れると捉えます。
また、症状は季節によっても大きく変化します。
春はストレスで肝の働きが乱れ、かゆみや赤みが悪化しやすく、夏は汗や湿気でジュクジュクとした症状が出やすくなります。秋になると乾燥によってひび割れやかさつきが目立ち、冬は冷えから血行が悪くなり、あかぎれやしもやけが増えてしまいます。
一陽館薬局では、このような四季ごとの体質変化や生活環境に合わせて、最適な漢方と養生法を組み合わせ、内側からの改善をお手伝いしています。血虚による潤い不足、湿熱による炎症やかゆみ、気血両虚による回復力の低下など、お一人おひとりの体質を丁寧に見極め、最も適した方法をご提案いたします。
さらに、食養生や生活習慣の工夫も大切にしています。食材の選び方や季節ごとの過ごし方を細やかにお伝えし、症状を和らげるだけでなく、繰り返さない手肌づくりを目指します。
手荒れ・手湿疹でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。


