漢方大辞典
坐骨神経痛
2025年12月17日

坐骨神経痛は、腰からお尻、太ももの後ろ、足にかけて痛みやしびれを伴う症状で、歩行や日常動作に影響を及ぼすことがあります。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、筋肉の緊張などさまざまな原因があり、単に痛みを抑えるだけでなく、体質や生活習慣を整えることが再発予防や改善につながります。
- 手足の冷えやしびれ、立ちくらみがある
- 痛みが片側に出ることが多い
- 灼熱感・電気が走るような感覚
- 痛みが腰〜臀部〜下肢に放散する
- 歩くと痛みやしびれが出る
- 前かがみで楽になる
坐骨神経痛の主な要因
1.加齢により脊柱管(神経の通り道)が狭くなり神経や血流が圧迫されることで発症しやすい
腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、変形性腰椎症、梨状筋症候群(筋肉による神経圧迫)
2.神経周囲の炎症
神経根の炎症、筋肉・靭帯の微細損傷、慢性の負担による炎症の持続
3.血流障害・循環不良
冷え、長時間の同一姿勢、運動不足、加齢による血流低下
4.加齢や体力低下による支持力の低下
筋力低下、関節の柔軟性低下、骨・軟骨の変性
漢方的にみる坐骨神経痛の主な要因
漢方では、坐骨神経痛は単なる神経のだけの問題ではなく、「気・血・水(津液)」の巡りの乱れと、臓腑の弱りが下半身に現れた状態と捉えます。
1.気滞血瘀タイプ(気や血の流れが滞る)
・痛みが鋭く、動かすと悪化しやすい。
- 特徴・症状:刺すような痛み、一点が強く痛む、夜間に悪化しやすい、慢性化しやすい
- 養生法:長時間の座りっぱなしを避るけ、血の巡りを促す運動やストレッチ、温める食材の摂取
- おすすめ食材:レバー、赤身肉、ほうれん草、黒豆、ひじき
2.寒湿侵襲タイプ(寒さや湿気による痛み)
・冷え(寒)と湿気(湿)が体内に入り、腰や下肢の経絡に滞ることで気血の流れが阻害され、痛みが生じます。
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- 特徴・症状:重だるい痛み、天候(雨・湿気・冷え)で悪化、温めると楽になる
- 養生法:気虚では「無理をすると一気に悪化」しやすいので注意、特に発症直後は体を温かく保ち、出歩きすぎない、腰や下肢を温める、入浴や温湿布で血流を改善
- おすすめ食材:しょうが、にんにく、唐辛子、シナモン、温かいスープ
3.肝腎虚弱タイプ(肝や腎の虚弱による慢性痛)
・腰がだるく、筋肉が緊張しやすい、足腰に力が入りにくい。
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- 特徴・症状:鈍い痛みが続く、疲れると悪化、朝より夕方に強くなる、しびれを伴いやすい
- 養生法:下半身を温め、十分な休養と睡眠を確保
- おすすめ食材:黒ごま、くるみ、山芋、クコの実、栗、鶏卵
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季節ごとの養生
春(肝の季節):風による痛みを防ぐ
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- 特徴:春は「風」が盛んで気候が変わりやすく、神経痛が出やすくなります。風邪(ふうじゃ)が体に入ると痛みが移動しやすい特徴があります。
- 養生法
- 朝晩の冷え込みに注意し、下半身を冷やさない
- ストレスをためない(肝気の滞りが痛みを悪化させる)
- おすすめ食材:•肝の働きを助ける酸味のある食材(梅、柑橘類)
•血流を良くする食材(にんじん、セロリ、しそ)
•炎症を抑える食材(小松菜、大根、れんこん)
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夏(心の季節):湿と熱に注意
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- 特徴:夏は湿気と暑さで「湿熱」がたまり、下肢の重だるさや神経痛が悪化しやすい季節です。
- 養生法
- 冷房の風で腰や足を冷やさない
- 適度な運動で血流を保ち、過度の冷たい飲食は控える
- おすすめ食材:•余分な湿を取る食材(はと麦、とうもろこしのひげ茶、冬瓜)
•湿をさばく食材→はと麦、とうもろこし、小豆、香味野菜(しそ・みょうが))
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秋(肺の季節):乾燥による血行不良を防ぐ
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- 特徴:秋は空気が乾燥し、血行が悪くなることで神経痛が出やすくなります。肺・皮膚が乾くと「気血の巡り」に影響し、痛みが長引きます。
- 養生法
- 軽い運動で血流を促し、長時間同じ姿勢を避ける
- 朝晩の冷え込みに備えて腰や足を冷やさないよう衣類で調整
- おすすめ食材:•白い食材→れんこん、白きくらげ、梨、百合根
•血を補う→黒ゴマ、ナツメ、黒きくらげ、ほうれん草
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冬(腎の季節):寒による痛みを防ぐ
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- 特徴:冬は「寒邪」が強まり、冷えで血流が滞ると神経痛が悪化しやすい季節です。特に腎の弱りと冷えが関係します。
- 養生法
- 腰・下肢を徹底的に温める(カイロ・腹巻・湯たんぽ)
- 適度な運動で血行を促進し、冷えの停滞を防ぐ
- おすすめ食材:根菜類、生姜、黒酢、黒豆、クルミ、長芋、にんにく
一陽館薬局ならではのサポート
坐骨神経痛は、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、筋肉の緊張などによって坐骨神経が圧迫・刺激され、腰からお尻、太もも、ふくらはぎにかけて痛みやしびれが生じる症状です。西洋医学では、神経の機械的圧迫・炎症・血流障害が主な原因と考えられており、消炎鎮痛薬や理学療法、必要に応じて注射・手術が選択されます。しかし、症状が慢性化したり、冷えや疲労、ストレスで増悪を繰り返すケースも少なくありません。
一陽館薬局では、こうした西洋医学的背景を踏まえたうえで、「神経の炎症を抑える」「血流を改善する」「筋緊張を和らげる」「体質そのものを立て直す」という多角的な視点からサポートを行います。
漢方的には、坐骨神経痛は「寒・湿・瘀血(おけつ)・気血不足」などが複合的に関与して起こると考えます。冷えによって血流が滞ると神経周囲の循環が悪化し、湿が溜まることで重だるさやしびれが強くなり、さらに血行不良(瘀血)が痛みを固定化させてしまいます。
まず丁寧なカウンセリングを通じて、痛みの出方・時間帯・冷えの有無・体力・生活習慣まで細かく確認します。西洋医学的な診断名や画像所見を尊重しながら、漢方の視点で体質を見極め、食養生、日常の姿勢・動作へのアドバイスも重視しています。西洋医学でも、局所の血流改善や筋緊張の緩和は神経痛軽減に有効とされており、漢方的な温め・巡らせるアプローチは理論的にも一致します。痛みだけを一時的に抑えるのではなく、「なぜ治りにくいのか」「なぜ繰り返すのか」という根本に向き合うことが、一陽館薬局ならではの強みです。
坐骨神経痛は、年齢や画像所見だけでは説明できない“体質の影響”が大きい症状です。一陽館薬局では、西洋医学と漢方医学の両方の視点を融合させ、今ある痛みの軽減と、将来に向けた再発予防まで見据えたサポートを大切にしています。痛みとともに我慢する日常から、少しずつでも「動ける・楽になる」体づくりを、専門的にお手伝いいたします。
坐骨神経痛でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。


