漢方大辞典
バセドウ病
2025年12月9日

バセドウ病は、自己免疫の異常によって甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで起こる病気です。体の代謝が高まるため、動悸や手の震え、体重減少、異常な発汗、疲労感、眠れないなど、心身に幅広く影響します。また、眼の症状や甲状腺の腫れ、月経不順など、生活全体に関わる変化が現れることもあります。
- 動悸・息切れ・手の震え
- 首が腫れぼったい(甲状腺腫) 顔や体がむくみやすい
- 喉の渇き、顔が赤い
- 疲れやすいのに落ち着かない
- 体が痩せてきた、声がかすれる
- 手足や顔の冷えを感じやすい
バセドウ病の主な要因
1.自己抗体が甲状腺を刺激する
甲状腺ホルモンを過剰に分泌させ、動悸、手の震え、多汗、体重減少、眼球突出等原因となります。
2. 遺伝的要因(家族内発症が多い)
家族にバセドウ病や橋本病などの 甲状腺疾患・自己免疫疾患 を持つ人がいる場合、発症リスクが高くなると言われています。
3. 環境要因
強い精神的ストレス、喫煙、感染症、女性ホルモンの影響、過剰なヨウ素摂取。
4. 免疫システムの過剰反応
免疫細胞のバランスが崩れ、自己抗体が作られやすくなり甲状腺が慢性的に刺激され続ける。
漢方的にみるバセドウ病の主な要因
漢方では、バセドウ病は「肝・腎・気血」のバランスの乱れが関与すると考えます。
1. 肝火上炎(かんかじょうえん)
・気が激しく動き、代謝が高まりやすいため、漢方的には 「肝火(かんか)」が強く燃え上がっている状態」 と重なることが多いです。
とくに肝火上炎タイプは「急に熱が上にのぼる」タイプで、次のような特徴が見られます。
- 特徴・症状:怒りっぽい・イライラしやすい、頭部の熱感、の症状(充血・乾燥・痛み)、動悸・手足の震え(肝火が心を乱す)
- 養生法:深呼吸や軽いストレッチで気を巡らせ、感情の高ぶりを鎮める
- おすすめ食材:青菜(小松菜、セロリ)、緑豆、菊花茶
2. 陰虚火旺(いんきょかおう)
・代謝が過剰に高まり、「体の熱が強くなる」状態が続きやすく、その中でも 陰虚火旺タイプ は、身体の“潤い・栄養(=陰)”が不足し、
余った“陽(熱)”が暴走してしまうタイプです。
- 特徴・症状:のぼせ・ほてりが強い(特に午後〜夜)、ほてりと冷えが同居する(手足は熱い・下半身は冷える)、動悸・不安感・寝つきの悪さ
- 養生法:ぬるめの水分補給や安静で体を潤す
- おすすめ食材:梨、百合根、クコの実、山芋
3. 気血両虚(きけつりょうきょ)
・代謝が過剰に高まり、“気”も“陰”も消耗しやすい病気です。
その中でも 気陰両虚タイプ は、「エネルギー不足(気虚)」と「潤い不足(陰虚)」が同時に進んでいる状態」を指します。「体力も落ちているのに、
内側に熱がこもりやすいタイプ」
- 特徴・症状:疲れやすく、息切れしやすい、手足のほてり、のどの渇き、乾燥(目・肌・口)、動悸、胸がドキドキする、不安感
- 養生法:腰や下腹部を温め、十分な休養をとる、腎を養う食事で体力を補う
- おすすめ食材:黒ゴマ、黒豆、クコの実、羊肉、海藻類(わかめ、ひじき)、くるみ、ナッツ類
4. 痰熱内擾(たんねつないじょう)
・痰熱内擾とは、体内にたまった“痰(=老廃物・代謝産物)”と“熱(炎症・興奮)”が互いに結びつき、身体の内側をかき乱している状態を指します。
- 特徴・症状:口や喉が乾く、口の中が苦い、体が熱っぽく汗が多い、落ち着きがない・そわそわする、不安感や動悸
- 養生法:消化に負担の少ない食事で体内の熱を鎮める
- おすすめ食材:冬瓜、豆腐、海藻類(昆布・わかめ)、ハト麦
季節ごとの養生
春(肝の季節):ストレスや感情が高ぶる季節
- 特徴:春は「肝」がもっとも活動し、気が上へ上へと昇りやすくなります。バセドウ病の根本である肝火・肝気上逆・心神不安が悪化しやすい季節です。
- 養生法
- イライラを溜めない工夫、酸味で肝を柔らげる、ストレスコントロールが非常に重要
- おすすめ食材:香りのある食材で“巡り”を改善→ しそ、セロリ、三つ葉、柑橘類、パクチー
免疫バランスを整える→しめじ・エリンギ
肝血を補う→ほうれん草、レバー、黒ごま、黒豆
夏(心の季節):水分コントロール
- 特徴:バセドウ病はもともと熱(火)が強く、汗が出やすい傾向があります。夏はさらに体温・心拍が上がりやすく、病状が悪化しやすい季節。
- 養生法
- 清熱・滋陰の食事を中心に
- 動悸・多汗・体重減少・脱水が目立ちやすい時期。こまめな水分と電解質補給が必要。
- おすすめ食材:水分補給→ハトムギ茶、麦茶、スイカ
体内の熱を取る→きゅうり、トマト、なす
血を補う→黒豆、黒きくらげ
心火を鎮める→れんこん、百合根
秋(肺の季節):乾燥対策と代謝アップが鍵
- 特徴:秋は乾燥が進み「肺」がダメージを受けやすい。バセドウ病は免疫疾患なので、肺の乾燥・気虚が進むと免疫バランスが乱れやすい。
=症状悪化につながる。 - 養生法
- 潤いを与える食材を多く
- 秋は自律神経が副交感神経寄りになり、
疲労・免疫バランスの低下が起きやすい。疲れやすい人は甲状腺ホルモンの変動が生じやすい時期なので要注意
- おすすめ食材:白い食材→れんこん、白きくらげ、梨、百合根
髪の栄養→黒ごま、松の実
血を補う→クコの実、黒きくらげ、ほうれん草
冬(腎の季節):「冷え」による循環の弱りに注意
- 特徴:バセドウ病の多くの方は陰虚(潤い・エネルギーの不足)が背景にあり、冬は特にその不足が強く出ます。
- 養生法
- 冷えを避けて“腎精の消耗”を防ぐ
→ お腹・足首・腰を温める - 冬は代謝が落ち、寒さで筋緊張・疲労・自律神経の乱れが発生しやすい季節。バセドウ病の治療中は冷えがストレスとなり、症状の揺らぎが出ることがあるため注意が必要です。
- 冷えを避けて“腎精の消耗”を防ぐ
- おすすめ食材:根菜類、生姜、黒酢、黒豆、クルミ、長芋、にんにく
一陽館薬局ならではのサポート
バセドウ病は、甲状腺刺激ホルモン受容体抗体(TRAb)が甲状腺を過剰に刺激することでホルモン分泌が増え、代謝の亢進や心拍数の上昇、不眠、不安、筋力低下、体重減少といった全身の症状を引き起こす自己免疫性疾患です。西洋医学では抗甲状腺薬やβ遮断薬、放射性ヨウ素治療が行われますが、治療中であっても自律神経の乱れやストレスの影響を強く受け、症状が変動しやすいという特徴があります。そのため、薬を服用するだけでなく、身体全体の調整を同時に行うことが重要になります。
漢方的には、バセドウ病を「熱が上にのぼりやすい体質(上熱下寒・肝火上炎)」として捉え、肝火上炎・陰虚火旺・気陰両虚・痰熱内擾といった体質分類を行い、舌・脈・体質・精神状態・生活背景を徹底的にヒアリングし、その方に最適な調整法を考えます。漢方の知識と長年の臨床経験を基にした精度の高いサポートを提供しています。
季節によって症状が大きく揺れるバセドウ病の特性に合わせ、春のストレス過多、夏の熱による悪化、秋の乾燥や情緒不安定、冬の疲労蓄積など、季節ごとの体調変動を見ながら最適な養生法を個別に提案するのも当薬局の強みです。食事・睡眠・体の使い方についても、代謝亢進で消耗しやすい栄養素の補い方、カフェインの扱い方、体温調節のコツなど、専門的かつ実践しやすいアドバイスを行います。
私たち一陽館薬局のゴールは、**「ホルモン値が安定すること」だけでなく、「再発しにくい身体と心のバランスを整えること」**です。バセドウ病は免疫・自律神経・代謝・精神面が複雑に関わる疾患だからこそ、医学と漢方の両面からの支えが必要です。あなたが日々を安心して過ごせるよう、専門的な視点と丁寧なカウンセリングで、最善のサポートをお届けいたします。どうぞいつでもご相談ください。
バセドウ病でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。


