漢方大辞典

肝機能に関するお悩み

脂肪肝

2025年12月2日

脂肪肝は、肝臓に脂肪が蓄積した状態で、放置すると脂肪性肝炎(NASH)や肝硬変、最悪の場合は肝がんに進行することがあります。西洋医学的な原因だけでなく、漢方的な体質や生活習慣も関与します。

  • お酒をよく飲む
  • 甘い物や脂っこい物を好み、食べすぎになりやすい
  • 運動不足で、体重が増えやすい
  • 疲れやすく、体がだるい
  • 健康診断で「肝機能の数値が高い」と言われた
  • 血糖値や中性脂肪、コレステロールが高め

漢方的にみる脂肪肝の主な要因

脂肪肝は、漢方では単に“肝に脂がつく”のではなく、
肝・脾・腎のバランスが崩れた複合的な体質異常として理解されます。

1.湿熱(しつねつ)タイプ (湿(水分の滞り)と熱(炎症や余分なエネルギー)が同時にこもっている状態)

  • 特徴・症状:顔が赤い、のぼせ、口の苦み、食欲不振、便がべたつく
  • 養生法:ストレス軽減(肝気鬱→熱化を防ぐ)
  • おすすめ食材:はと麦、とうもろこし(ひげ茶も◎)、小豆、ゴーヤ、セロリ

2.痰湿(たんしつ)タイプ (停滞が肝に負担をかけ、脂肪や水分が処理できず 脂肪肝に進みやすくなる体質) 

  • 特徴・症状:消化吸収の乱れで脂肪や水分が体内に停滞、体が重だるい、疲れやすい
  • 養生法:脾を弱め痰をためる食材は避ける
  • おすすめ食材:生姜・長ネギ・玉ねぎ(温めて巡りUP)、キャベツ・小松菜・白菜(脾を助ける)

3.肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ「ストレス」「感情の抑圧」「自律神経の乱れ」 によって肝の気を巡らせ、調える働きが滞る

  • 特徴・症状:胸や脇の張り、イライラ、ため息が多い
  • 養生法:“肝は怒りとストレスに弱い臓”と言われます。ストレス処理能力が低下すると肝気鬱結が悪化し、脂肪肝の進行を招きます。
  • おすすめ食材:柑橘類(レモン・ゆず・温州みかん・グレープフルーツ)、香味野菜(しそ・ミョウガ・ねぎ・セロリ)、青魚(EPAで肝の炎症軽減)

季節ごとの養生

春(肝の季節):気の巡りを良くする

  • 特徴:肝は気血の流れを司る臓器。春に滞ると脂肪の代謝も落ちやすい。ストレスで過食・飲酒が進むと悪化しやすい。
  • 養生法
    • 軽めの運動や散歩で肝気を巡らせる
    • 酸味のある食材を少量とり、肝の働きを助ける
  • おすすめ食材:三つ葉、春菊、セロリ、しそ、みょうが、レモン・ゆず

夏(心の季節):心と脾を守る季節:余分な熱と湿を払う

  • 特徴:暑さで冷たい物や甘い飲料をとりすぎると「痰湿」が悪化しやすい。動悸や倦怠感も出やすい。
  • 養生法
    • 冷たい物・甘い物・アルコールを控える
    • 適度に汗をかき、水分代謝を促す
  • おすすめ食材:余分な熱を冷ます(ゴーヤ、トマト、セロリ)除湿・利水(きゅうり、ハトムギ)、緑豆

秋(肺の季節):肺を潤す季節:代謝を整え痰湿をためない

  • 特徴:乾燥とともに夏の疲れが残ると免疫低下・代謝の鈍りが起きやすい。痰湿が溜まると咳・痰や肥満傾向が進む。
  • 養生法
    • 秋の果物は食べすぎず適量に(糖分過剰は脂肪肝悪化の原因に)
    • 消化の良い温かい食事で脾胃を養う
    • 呼吸法・軽い有酸素運動で代謝をサポート
  • おすすめ食材:れんこん、大根、梨(適量)、豆腐、百合根、きのこ類

冬(腎の季節):腎を養う季節:ため込まずエネルギーを守る

  • 特徴:寒さで活動量が減ると脂肪が蓄積しやすい。腎の力が落ちると代謝も弱まり、内臓脂肪型肥満につながる。
  • 養生法
    • 体を冷やさないようにして代謝を落とさない
    • 滋養のある食材で腎を補い、消耗を防ぐ
    • 運動不足を防ぐため、室内でできる運動を習慣に
  • おすすめ食材:黒ごま・黒豆・くるみ・山芋

一陽館薬局ならではのサポート

脂肪肝とは、肝臓に余分な脂肪が蓄積し、本来の働きが弱まってしまう状態を指します。初期には自覚症状がほとんどありませんが、放置すると肝炎や肝硬変、さらには生活習慣病とも深く関わっていくため、早めの体質改善が大切です。
漢方では、脂肪肝の背景にはいくつかの要因があると考えます。消化吸収と代謝を司る「脾」の力が弱まると、体内に“湿”や“痰”といった余分なものが停滞しやすくなります。また、ストレスや緊張により「肝」の働きが滞ると、脂質代謝が乱れ、肝臓に脂肪がたまりやすくなります。さらに、「気虚(エネルギー不足)」や「血瘀(血流の滞り)」も関与し、全身の巡りが悪くなることが脂肪肝の素地となるのです。
一陽館薬局では、脂肪肝を単なる「脂肪の問題」と捉えるのではなく、体全体の代謝や巡りを整えることを重視しています。
あわせて、食養生や生活養生も大切です。脂っこい物や甘い物、アルコールを控え、豆類・緑黄色野菜・発酵食品を意識して取り入れること。また、軽い運動や深い呼吸、規則正しい睡眠が、肝臓の回復を後押しします。

脂肪肝でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。