漢方大辞典

耳に関するお悩み

メニエール病

2025年11月17日

メニエール病は、回転性めまい・耳鳴り・難聴・耳閉感などの症状が繰り返し起こる内耳の疾患です。発作は数分から数時間続くことがあり、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
「めまいが突然起こり、生活に支障がある」
「薬を飲んでいるが、耳鳴りや疲れが続く」
こんなお悩みを抱える方が多く来局されています。

  • 顔や足がむくみやすい
  • 頭痛や目の充血を伴いやすい
  • 舌がぽってりして歯の跡がつく
  • 顔が赤くのぼせやすい
  • 寝ても疲れが取れず、気力がわかない
  • 夜間の頻尿がある

メニエール病の主な要因

1.ストレスや生活習慣

精神的・身体的なストレス、過労、睡眠不足、食生活の乱れは、発作を引き起こす大きな要因となります。

2. 内耳の血行不良

血流が不足すると、内耳への酸素や栄養が十分に届かなくなり、機能が低下します。高血圧・糖尿病・動脈硬化などが関係することがあります。

3. 免疫系の異常

自己免疫反応によって内耳が攻撃され、炎症が起こることで発症に関与すると考えられています。

4. 遺伝的要因

家族にメニエール病の方がいる場合、発症リスクが高まることが知られています。まだ不明な点も多いですが、遺伝的素因が示唆されています。

漢方的にみるメニエール病の主な要因

漢方では、胃腸症状は「脾・胃・肝・腎・気血」のバランスの乱れが関与すると考えます。

1. 痰湿タイプ(水毒)

  • 特徴・症状:水分代謝が乱れ、余分な水分が耳や頭部に停滞。「頭が重い」「体がむくむ」「雨の日に悪化」など
  • 養生法:水分や湿をためない食生活を心がけ、温かく消化の良い食事を意識する
  • おすすめ食材:冬瓜、緑豆、れんこん、セロリ、きゅうり、はと麦茶

2. 肝気鬱結・肝陽上亢タイプ

  • 特徴・症状:ストレスや緊張で「肝」の気が滞り上昇。めまい、耳鳴り、頭痛、情緒不安定が出やすい
  • 養生法:深呼吸、散歩、ストレッチなどで気を巡らせ、ストレスをためない
  • おすすめ食材:セロリ、しそ、陳皮、ラベンダー茶、カモミール茶

3. 腎精不足・肝腎陰虚タイプ

  • 特徴・症状:加齢や過労で腎の力が弱まり、慢性的な耳鳴りや難聴が出やすい。耳の閉塞感、疲れやすい、寝汗、不眠なども伴う
  • 養生法:腰や下腹部を温め、十分な休養をとる。腎を養う食事で体力を補う
  • おすすめ食材:黒ゴマ、黒豆、クコの実、羊肉、海藻類(わかめ、ひじき)、くるみ、ナッツ類

4. 脾気虚タイプ

  • 特徴・症状:胃腸の弱りによる水分代謝の停滞。「食欲不振、胃もたれ、軟便、めまい、倦怠感」など
  • 養生法:温かく消化の良い食事を心がけ、軽い運動で気血の巡りを促す
  • おすすめ食材:山芋、かぼちゃ、大豆製品、鶏肉、根菜類(にんじん、レンコン、ゴボウ)、はと麦

季節ごとの養生

春(肝の季節):ストレスや感情が高ぶる季節

  • 特徴:気の流れが乱れて 頭部に上衝(のぼせ・めまい・耳鳴り)を招きやすくなります
    肝が「気」と「水」の巡りをコントロールする場所
    肝が弱ると気が滞り(気滞)、水が渋滞(痰湿)します。
    → 内耳の水バランスが崩れ、メニエールの症状が出やすくなります。
  • 養生法
    • 過度な運動はめまいを悪化させることがあるため、春は 「軽い伸び」や「ゆるめる運動」 が最適
    • 塩分を控える(むくみ=内耳圧上昇)
  • おすすめ食材:三つ葉、春菊、セロリ、しそ、みょうが、レモン・ゆず

夏(心の季節):水分コントロール

  • 特徴:夏は汗で「気」と「津液(水分)」が消耗する
  • 養生法
    • 体を冷やしすぎない:冷たい食べ物で耳や頭の水分代謝が悪化しやすい
    • 冷房との温度差を安定させ、自律神経を整える
    • 水分補給は一度に大量ではなく「こまめに少量」
  • おすすめ食材:湿を抜く(きゅうり、緑豆、はと麦、なす)余分な熱を冷ます(ゴーヤ、トマト、セロリ、レタス、スイカを少量)

秋(肺の季節):「肺」と「乾燥」の季節:水分リズムが乱れ、回転性めまいの誘発要因に

  • 特徴:気温低下で 血流停滞 → 内耳循環の悪化で症状が出やすくなります。
  • 養生法
    • 首、耳、側頭部を冷やさない
    • 室内の加湿、保湿を意識
    • 「肺」を整えて自律神経を安定させる呼吸法を
  • おすすめ食材:梨(肺を潤す)、白木耳(シロキクラゲ)、豆腐、ごま、はちみつ、アーモンド

冬(腎の季節):体内の水分代謝が滞り、内耳のリンパ圧が上がりやすい

  • 特徴:冬は、冷えにより内耳の血流が悪化、季節的なうつ傾向で耳鳴りが増加しやすい
  • 養生法
    • 「足首・腎臓・耳」を冷やさない
    • 起床してすぐ動くと血圧変動でめまいを起こしやすい(座位で深呼吸30秒、首まわりを軽く温める、ゆっくり立ち上がる)
    • 運動は「軽い負荷 × 継続」がベスト
  • おすすめ食材:生姜、黒酢、黒豆、クルミ、長芋

一陽館薬局ならではのサポート

メニエール病は、めまい・耳鳴り・耳の閉塞感・ふらつきなど、生活の質に大きく影響する症状を伴うことが多く、日常生活や心の安定にも大きな影響を与えます。突然の発作に不安を抱え、仕事や家事にも支障をきたすことも少なくありません。西洋医学的には内耳のリンパ循環や自律神経のバランスの乱れが原因とされています。一方、漢方の視点では、腎や肝、気血、水の巡りの不調が症状に深く関わると考えられています。
漢方では、この病気を単なる耳の異常とは考えません。
めまいや耳鳴りの背後には、体全体のバランスの乱れが深く関わっていると捉えます。メニエール病は「症状」だけでなく「体質」から見直すことが大切です。

症状を一時的に抑えることにとどまらず、からだ全体のバランスを整え、予防と体質改善を目指します。

メニエール病でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。