漢方大辞典

お肌に関するお悩み

にきび・吹き出物

2025年10月31日

にきびや吹き出物は、皮脂の過剰分泌や毛穴の角化異常、アクネ菌の増殖、ホルモンバランスの乱れ、生活習慣の影響などが絡み合って起こる肌のトラブルです。顔だけでなく、胸や背中に広がることもあり、日常生活に小さなストレスとして影響することがあります。単に症状を抑えるだけでなく、体質や心身のバランスを整えることが、肌の健康回復への近道です。

  • 慢性的ににきび跡が残りやすい
  • 紫色っぽいにきびや、膿が溜まりやすい
  • 生理痛が強い、経血に血の塊
  • 舌に紫色の斑点
  • 食欲不振、軟便、便秘気味、疲れやすい
  • 舌は淡胖で歯痕、苔は白くて厚い
  • のぼせ、寝汗、口の渇き
  • 舌は赤く、苔少ない、苔が黄色っぽい

漢方的にみるにきび・吹き出物の主な要因

漢方では、にきび・吹き出物は「肝・脾・肺・血・陰陽」のバランスの乱れが関与すると考えます。

1. 肺経風熱タイプ(赤くて熱感のあるにきび)

  • 特徴:額、鼻筋、頬の中心部に出やすく、赤く腫れ、熱感や痛みを伴う
  • 養生法:辛いもの・揚げ物・アルコールは控え、早寝早起きで体を整える
  • おすすめ食材:緑豆、れんこん、きゅうり、豆腐、苦瓜、桑の葉茶、菊花茶

2. 脾胃湿熱タイプ(口まわり・あごに多い)

  • 特徴:膿をもつにきびがあごやフェイスラインに出やすく、胃腸が弱い人に多い
  • 養生法:脂っこいもの・甘いもの・冷たいものを控え、腸内環境を整える
  • おすすめ食材:はと麦、もやし、冬瓜、大根、緑豆、とうもろこしのひげ茶

3. 肝鬱気滞タイプ(ストレス・月経前に悪化)

  • 特徴:顎やフェイスライン中心、しこりのように硬いにきびが出やすく、イライラや胸脇の張りを伴う
  • 養生法:感情をため込まず発散、リラックス時間を意識的に作る
  • おすすめ習慣・食材:陳皮、香味野菜(セロリ・しそ)、ラベンダー・カモミール茶、散歩、深呼吸、ストレッチ

4. 血熱タイプ(炎症が強く、繰り返す)

  • 特徴:顔だけでなく胸や背中にも広がり、赤み・熱感・かゆみを伴う
  • 養生法:血の熱を冷まし、代謝を整え、血流を良くする
  • おすすめ食材:どくだみ茶、れんこん、黒豆、紅花、すいか、なす、桑の実

5. 陰虚火旺タイプ(大人にきび・乾燥が強い)

  • 特徴:頬骨や口まわりに繰り返し出やすく、肌の乾燥やつっぱり感、寝汗を伴う
  • 養生法:潤いを補い、内熱を鎮める温かい食事を意識
  • おすすめ食材:白きくらげ、山芋、百合根、クコの実、黒ごま、梨、豆乳、松の実

季節ごとの養生

春(肝の季節):ストレスやイライラに注意

  • 特徴:春は「肝」の働きが活発になる季節。肝は感情の調整を司るため、ストレスや怒りがたまりやすく、パニック発作の引き金になることがあります。
  • 養生法:
    • 深呼吸や軽い散歩で肝の気を巡らせる
    • ストレス発散の時間を意識的に作る(趣味やアート、音楽など)
    • 青菜や香味野菜で肝を養い、感情を安定させる
  • おすすめ食材:ほうれん草、チンゲンサイ、セロリ、黒ゴマ、ごま油、陳皮

夏(心の季節):過敏になりやすい神経をケア

  • 特徴:夏は「心」の季節で、暑さや睡眠不足、過度な刺激で神経が過敏になりやすく、不安感や動悸が増すことがあります。
  • 養生法:
    • 夜更かしを避け、質の良い睡眠を確保
    • 常温の水分補給と、冷房での冷えすぎに注意
    • 瞑想や軽い運動で心の落ち着きを保つ
  • おすすめ食材:トマト、冬瓜、豆腐、緑豆、梨、百合根、黒豆茶

秋(肺の季節):乾燥と不安のダブルケア

  • 特徴:秋は「肺」の季節で乾燥が進みやすく、呼吸や精神の安定に影響を与えることがあります。
  • 養生法:
    • 室内の湿度を保ち、乾燥から呼吸を守る
    • 温かいスープや煮物で体を潤す
    • 呼吸法や軽いストレッチで心身のバランスを整える
  • おすすめ食材:山芋、れんこん、百合根、梨、白きくらげ

冬(腎の季節):エネルギー不足と慢性疲労を防ぐ

  • 特徴:冬は「腎」の季節で、生命力や体力が低下しやすく、慢性的な疲労や心の不安定さが出やすくなります。
  • 養生法:
    • 腰や下腹部を温め、十分な休養をとる
    • 冷えや過労を避け、体力を回復させる
    • 温かい食事を中心に、エネルギーを補う
  • おすすめ食材:黒豆、クコの実、羊肉、山芋、豆乳、黒ごま
  • 睡眠:肌は夜10時~深夜2時に再生されます。夜更かしは避けましょう。
  • 洗顔・スキンケア:洗いすぎは禁物。1日2回、ぬるま湯と低刺激洗顔料でやさしく。保湿は必須です。
  • 排便・デトックス:便秘はにきび悪化の大きな要因。朝の排便を習慣にし、食物繊維や発酵食品を取り入れましょう。
  • ストレスケア:皮膚と心は密接に関わっています。怒りや焦りは「熱」となり肌に表れます。太極拳・気功・ヨガ・呼吸法などで心をゆるめる時間を持ちましょう。

一陽館薬局ならではのサポート

にきびや吹き出物は、年齢や性別を問わず多くの方が悩まれる皮膚トラブルです。西洋医学的には、皮脂の過剰分泌や毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖、さらにはホルモンバランスやストレス、生活習慣の乱れが原因として挙げられます。特に、睡眠不足や偏った食事、ストレスの蓄積は、にきびを繰り返す大きな要因になります。

一方、漢方では、にきびや吹き出物を「体の内側の不調が皮膚に現れたもの」と捉えます。胃腸の弱りによる消化不良や老廃物の滞り、ストレスによる「肝」の気の停滞、体内にこもる「湿熱」、血流の滞りである「瘀血」などが関与し、それぞれの体質によって現れ方が異なります。例えば、赤く腫れて痛むにきびは「熱」の影響が強く、膿が溜まるタイプは「湿熱」のこもり、慢性的に繰り返すにきびは「瘀血」が背景にあると考えられます。

また、季節によってもにきびの出方は変化します。春は環境の変化やストレスで吹き出物が悪化しやすく、夏は汗や皮脂が増えて炎症が強まりやすい時期です。秋は乾燥によって肌のバリア機能が弱まり、冬は冷えと血行不良が原因で治りにくくなることもあります。このように、一年を通しての養生も重要になります。

一陽館薬局では、西洋医学的な視点からは皮膚の清潔や生活習慣の改善を重視し、漢方的な視点からは体質そのものを整えることを大切にしています。にきびを単なる「表面の症状」として捉えるのではなく、体内のバランスを見極め、その方に合った漢方薬や養生法をご提案いたします。内と外の両面からサポートすることで、にきびの根本改善をめざし、肌本来の健やかさを取り戻していただけるようお手伝いしております。

にきびや吹き出物でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。