「眠れない…」その不調、漢方ではどう考える?

最近「寝つきが悪い」「夜中に目が覚めてしまう」「朝すっきり起きられない」――そんな声をよく耳にします。
実は、睡眠の悩みってとても多いんです。特に年齢を重ねるとホルモンの変化やストレスの影響も加わり、ぐっすり眠るのが難しくなることも。
そんなとき、漢方の視点で自分の状態を見つめ直してみると、意外な気づきが得られるかもしれません。
漢方では、眠りは「陰(いん)」の時間と考えます。日中に活動しているときは「陽(よう)」の時間で、夜になると自然と「陰」が優位になり、身体も心も休息モードに切り替わるのが理想です。
でも、仕事や家事に追われて遅くまでスマホやパソコンを使っていたり、考えごとが止まらなかったりすると、いつまでも「陽」の状態が続いてしまいます。すると眠りのスイッチがうまく入らず、寝つけない、夜中に目が覚める…といった睡眠の乱れが起きてしまうのです。
東洋医学では、五臓(ごぞう)という考え方があり、その中でも特に「心(しん)」と「肝(かん)」が睡眠に深く関わっているとされています。
「心」は、心の安定や意識を司る場所。ここが不安定になると、気持ちがソワソワして眠れなかったり、夢をたくさん見て眠りが浅くなったりします。
「肝」は、気や血の流れを整えたり、ストレスと関係が深い場所。ストレスをため込んでいると、この「肝」の働きが乱れて、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりしやすくなります。
心や肝が元気を失っていると、眠りが浅くなったり、朝起きるのがつらくなったりするのは、漢方的には自然なことなんです。
漢方薬は、体質や不調のタイプに合わせて選ぶことが基本です。
たとえば…
・イライラや考えすぎで寝つけない → 気の巡りを整える漢方
・不安感や動悸があって眠れない → 「心神(しんしん)」を落ち着ける処方
・夢ばかり見て寝た気がしない → 血を補って心を養うもの
といったように、原因に合わせたアプローチをしていきます。
でも、生活習慣の見直しもとても大切です。
たとえば…
✔ 寝る前のスマホやパソコンはなるべく避ける
✔ 夜のお風呂はぬるめでリラックス
✔ 温かいお茶で気分を落ち着ける
✔ 就寝1〜2時間前から照明を落とし、身体に夜を知らせてあげる
こんなふうに「陰」の時間を意識して作ってあげることが、自然な眠りを取り戻す第一歩です。
眠れない夜は、つい焦ってしまいがち。でも実は、それは身体が「今、ちょっとがんばりすぎてるよ」と教えてくれているサインかもしれません。
漢方には、「未病(みびょう)」という考え方があります。これは“まだ病気ではないけれど、何かがおかしい状態”のこと。睡眠の乱れもまさにそれです。
だからこそ、放っておかずに、心と身体に優しい目を向けてあげてくださいね。
漢方の視点で整えていくことで、眠りが深まり、朝の目覚めが少しずつ変わっていくはずです。
“寝つきが悪くて、体がすっきりしない…”と感じられる方は、お気軽にご相談ください。
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