漢方大辞典

女性のお悩み

子宮内膜症

2026年7月4日

子宮内膜症 は、子宮内膜に似た組織が子宮以外(卵巣、腹膜、ダグラス窩、腸、膀胱など)に発生し、月経のたびに炎症や出血を繰り返す慢性炎症性疾患です。

  • 強い月経痛
  • 慢性的な骨盤痛
  • 排便痛
  • 月経異常
  • 消化器症状

子宮内膜症の主な要因

1. エストロゲン依存性疾患

子宮内膜症は女性ホルモンであるエストロゲンによって病変が増殖します。

2. 慢性炎症

炎症性サイトカインが多く産生されます。

3. 月経血逆流説

月経時に子宮内膜が血液とともに卵管を逆流し、腹腔内へ流れ込みます。
通常は免疫細胞が排除しますが、何らかの原因で生着・増殖し、子宮内膜症を形成すると考えられています。
しかし逆流は多くの女性に起こるため、逆流だけでは説明できず、免疫異常が重要とされています。

4. 免疫異常

本来なら異所性内膜を除去する、NK細胞、マクロファージなどの働きが考えられます。

漢方的にみる子宮内膜症の主な要因

1. 瘀血タイプ

血流が滞り、炎症や癒着を起こしやすい状態。

  • 特徴・症状:強い生理痛、刺すような痛み、経血にレバー状の塊が多い、腰痛、肩こり、顔色がくすむ
  • 養生法:下腹部・腰を冷やさない、ウォーキングなどの有酸素運動で血流を促す、長時間同じ姿勢を避ける
  • おすすめ食材:青魚(EPA・DHA)、玉ねぎ、黒きくらげ、黒豆、生姜(冷えが強い方)

2. 肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ

ストレスにより自律神経が乱れ、気血の巡りが悪くなる状態。

  • 特徴・症状:月経前に痛みが強くなる、イライラ、気分の落ち込み、胸や脇の張り、お腹が張る、PMSが強い
  • 養生法:深呼吸、軽いウォーキング、十分な睡眠
  • おすすめ食材:しそ、春菊、セロリ、柑橘類、ジャスミン茶

3. 寒凝血瘀(かんぎょうけつお)タイプ

冷えによって血流が滞る状態。

  • 特徴・症状:温めると楽、冷えると悪化、手足が冷たい、下腹部が冷える、生理痛が強い
  • 養生法:足首を温める、冷たい飲食を控える
  • おすすめ食材:生姜、ねぎ、にら、シナモン、根菜類

季節ごとの養生

春(肝を整える季節):気温差や環境変化で自律神経が乱れ、ストレスホルモンが増加しやすい時期

  • 特徴:生理痛の悪化、PMS、イライラ、頭痛、気分の落ち込み
  • 養生法
    • 朝日を浴びる
    • 適度な運動(散歩・ストレッチ・深呼吸)で気を巡らせ、香りのよい食べ物を心がける
  • おすすめ食材:しそ、三つ葉、春菊、セロリ、菜の花、新玉ねぎ、柑橘類(レモン・グレープフルーツ・甘夏)
    柑橘類や緑黄色野菜にはビタミンCやポリフェノールが豊富で、抗酸化作用によって慢性炎症の軽減に役立つと考えられています。

夏(炎症と消耗を防ぐ季節):発汗によるミネラルや水分の喪失、冷房による冷えが血流や自律神経に影響

  • 特徴:疲労感、食欲不振、生理痛、むくみ
  • 養生法
    • 水分をこまめに補給
    • 良質なたんぱく質を摂る
  • おすすめ食材:オクラ、モロヘイヤ、山芋、枝豆、豆腐、白身魚、鶏むね肉
    たんぱく質は組織修復に欠かせず、オクラやモロヘイヤに含まれる食物繊維は腸内環境を整えるのに役立ちます。

秋(乾燥と回復の季節):日照時間の減少によりセロトニン分泌が低下し、気分の変動が起こりやすくなります。

  • 特徴:疲れが抜けない、肌や粘膜の乾燥、気分の落ち込み
  • 養生法
    • 体を潤す食材を取り入れる
    • 十分な休養
  • おすすめ食材:れんこん、梨、白きくらげ、百合根、山芋、小松菜、ほうれん草、なつめ、黒ごま
    鉄分や葉酸、ビタミンCを組み合わせて摂ることで、貧血予防や疲労回復をサポートします。

冬(冷えを防ぎ血流を守る季節):寒さによる血管収縮で骨盤内の血流が低下し、炎症部位の痛みが増強しやすくなります。

  • 特徴:生理痛の悪化、腰痛、冷え、骨盤痛
  • 養生法
    • 下腹部・腰・足元を温める
    • 湯船に浸かる
  • おすすめ食材:生姜、にら、ねぎ、ごぼう、にんじん、かぼちゃ、黒豆、黒ごま、くるみ、鮭、いわし
    青魚に含まれるEPA・DHAには抗炎症作用があり、ナッツ類に含まれるビタミンEは血流改善や抗酸化作用が期待されます。

一陽館薬局ならではのサポート

子宮内膜症は、「生理痛が強い病気」というイメージを持たれがちですが、実際には慢性的な炎症を背景に、ホルモンバランスや免疫機能、自律神経、さらには腸内環境まで深く関わる全身性の疾患と考えられています。

西洋医学では、子宮内膜症はエストロゲン依存性疾患であり、異所性の子宮内膜組織が炎症を繰り返すことで、炎症性サイトカインやプロスタグランジンなどの炎症物質が増加し、強い月経痛や骨盤痛、癒着、不妊などを引き起こすことが分かっています。また近年では、免疫機能の異常や腸内細菌叢(腸内フローラ)の変化、自律神経の乱れが病状の進行や痛みの増悪に関与することも明らかになってきました。

お一人おひとりの体質や生活環境、その方に合わせた養生法や漢方的なケアをご提案し、
心と体の両面から産後のお母さんを支えるサポートを大切にしています。

子宮内膜症でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、お一人ひとりの体質と生活に寄り添ったサポートをさせていただきます。